ブルームバーグの実験 Publidia #121
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
毎週末にメールでお届けしています、よかったらご登録ください。
今週もよろしくお願いします。
# ブルームバーグの実験
AdWeekで取り上げられていたブルームバーグの記事をMediaInnovationが紹介している。
記事の中では、ブルームバーグは以下のような取り組みを行った。
-
ネットワーク広告の掲載終了
-
広告掲載は直接購入方式のみに変更
この取り組みにより、広告単価やクリックの向上、サイト表示速度の改善にも繋がったということ。
ネットワーク広告などを増やすということは、サイト表示を徐々に重くさせるということだ。
また、広告が表示されれば永続的に収益が入る装置ではない。効果が出ない広告枠は単価が下がる。サイトに訪問しにきた人は複数ある広告枠を、多くて一回クリックするぐらい。 つまり、1つのページに複数貼れば貼るほど効率は悪くなってくる。当然いろんな場所に適切に配置すれば問題ない。
また、直接枠を買い付けされているほうが単価も高くなる。
そして、表示速度などいわゆるGoogleのCore Web Vitalsの数値も大事だ。一般的にSEOの評価の1つとしても使われている。広告表示を増やすとそれらの数字に悪い影響は起きる。
このブルームバーグの取り組みからわかることは、
-
広告枠を直販の比率を上げる
-
Core Web Vitalsなどの数字改善
これらが重要でかつ、売上の改善にもつながるということだ。
こうした実験を行い変化することはとても重要である。
# 🧠 AI関連ニュース
Googleは「ジェネシス」と社内で呼ばれているAIツールを、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの大手報道機関に売り込んだと、ニューヨーク・タイムズが報じている。
「ジェネシス」は、情報を取り込んだらニュースコンテンツを生成する機能があると、関係者の話として報じらている。
しかし、その報道に対してGoogleは、アイデアを模索している初期段階で、ジャーナリストを置き換えるものではないと発表している。
米政府は、生成AIの開発を手掛けるOpenAIやGoogleなどとAIの安全性を確保するルールの導入に関して合意したと発表した。
今後、法的拘束力を持たせるために動くとのこと。
EUでも規制案が採択されるなど、国家単位で規制や法整備などが進められている。
生成AIについて、コルク代表の佐渡島庸平氏と少年ジャンプ+編集長・細野修平氏にインタビューを行っている。
比較的新しいものが好きな2名に聞いているが、漫画家などがどう向き合えばよいか語っている。
生成AIの活用で省人化などを発表したサイバーエージェントや広告代理店での動きについて取材している。
当然人間のチェックも入る前提で運用しているとのこと。
効率化されることで、他の部分にリソースを活用していくという動きのようだ。
海外および日本のメディアの生成AI活用ポリシーをまとめているnote。
参考までに。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
-
テレビ朝日は、KDDIと合弁のTELASAの好調や、YouTubeなども好調で純利益が3年で5億から14億円越えとのこと(FRIDAYデジタル)
-
伝統的なメディアからの転職について、新聞とテレビ業界から転職した二人がイベントで語っている(U-NOTE)
個人的には、配信を見ていたのでもっと深く語っていた気がする。動画アーカイブがあるともっと伝わるのになぁと感じた。
その他のニュース
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
-
Netflixはパスワード共有を禁止して加入者数は伸びたが、売り上げは残念ながら未達となった(Media Innovation)
-
7月20日に米国ハーストの出版部門でレイオフを行った。本記事では、メディアのレイオフ情報をまとめており、不穏な記事である(Forbes)
-
ジェフ・ベゾスがワシントン・ポストの運営にますます積極的に関与していると、ニューヨーク・タイムズが報じている。ワシントン・ポストを国際的な勢力にすることを求めている(INSIDER)
-
Spotifyは決算報告で、現在2億2,000 万人の有料会員がおり、月間アクティブユーザー数は5億5,100万人となったと発表した。前年同月と比較して有料会員は27%増加しているとのこと(TheVerge)
その他のニュース
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
-
2023年上半期出版市場(紙+電子)は8024億円で前年同期比3.7%減、電子は2542億円で7.1%増 ~ 出版科学研究所調べ(HON.jp News Blog)
-
翔泳社の福祉の本担当者によるnoteで、読書のアクセシビリティとバリアフリーについて業界課題について書かれている。出版社、図書館を含めた業界や関係機関の取り組みが欠かせないとのこと(翔泳社の福祉の本)
-
米国のペンギンランダムハウスのトップ編集者がレイオフで、同社を去ることとなった。(AP)
ペンギンランダムハウスは、昨年秋にサイモン・アンド・シュスター社の買収計画が連邦判事によってストップさせられている
その他のニュース
# 編集後記
今週から少し体裁を変えてみました。
今週も読み終わった方は、押していただけるとうれしいです。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
SNS
メディア
ポッドキャスト:アヨハタの金曜回帰φ瑠 / メディアのげんざい / 平日回帰φ瑠
ニュースレター:Raisin On The Sylveine
コミュニティ:Discrod
すでに登録済みの方は こちら