プロダクトで読者にも組織にも価値を生み出すには Publidia #239
12月26日にイベント登壇します。リアルとオンラインハイブリット開催です。
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最新回#44は以下になります。
# 🚩 トップニュース
パラマウントによるワーナー・ブラザース・ディスカバリーへの1株30ドルの敵対的買収提案について、資金提供者の一角だったクシュナー関連ファンドが撤退した。これを受けWBD取締役会は、資金の確実性に欠け株主を誤解させているとして提案を全会一致で拒否。今後はパラマウントが買収額を引き上げるかが焦点となる。(Axios)(Axios)
ワシントン・ポストは、AIで生成するパーソナライズ型音声ニュース「Your Personal Podcast」をベータ版で開始した。ユーザーが関心分野やAIホストを選べる新機能だが、公開直後から誤引用や事実誤認、編集的な偏りが多発し、社内外で強い批判が噴出している。内部テストでは原稿の大半が不合格と判定されていたにもかかわらず、改善を前提に公開されたことも判明。記者や組合は、報道の信頼性を損なうとして懸念を示している。(Media Innovation)(Futurism)(Futurism)
# 📍 ピックアップ
今回は以下の内容をピックアップして紹介しています。
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プロダクトで読者にも組織にも価値を生み出すには
プロダクトで読者にも組織にも価値を生み出すには
この10年で、ニュース業界における「プロダクト」に関わる職種は着実に増えてきた。デジタル化の進展や読者行動の変化を背景に、プロダクトマネージャーやプロダクトデザイナーといった役割がニュースルームに入り込むようになっている。一方で、リソース不足や役割理解の遅れから、その価値を十分に発揮できていない現場も多いと、A Media OperatorのレポーターBron Maherが記事で指摘している。
ニュースプロダクトマネージャーとは、単にアプリやWebサイトを作る人ではない。編集、技術、ビジネス、読者という複数の視点を横断し、「読者にとっての価値」と「組織の持続可能性」を同時に成立させるための意思決定を担う存在だ。
ニュースレターやCMS、会員プログラム、AIツールなども含め、何がプロダクトであるかを定義し直す役割も担う。
ニュース業界におけるプロダクトは、「価値の交換」として捉えられるべきだ。読者のニーズを満たす体験を提供し、その対価として信頼、時間、あるいは収益を得る。この考え方は、記事単体ではなく、体験全体を設計する視点を必要とする。
プロダクトのプロセスでは、仮説を立て、検証し、学習を重ねることが重要となる。
テック業界の手法が参考になる一方、ニュースには独自のミッションや文化があり、そのまま適用できるわけではない。だからこそ、試行錯誤を前提としたプロダクト思考が求められる。
しかし現実には、プロダクトが単なる「機能」や「ツール」として扱われ、戦略的に位置づけられていないケースが多い。プロダクト思考に不慣れなジャーナリストとの認識ギャップも大きく、一般的なSaaS企業と比べると、開発や改善のスピードが遅れている組織も少なくない。
記事では、こうした状況を踏まえ、記事ではリーダー層に対し、プロダクトを経営課題として捉え、明確な権限と支援を与えることの重要性を訴えている。
プロダクトへの投資と理解こそが、ニュース組織の未来を左右する鍵となりつつある。
この記事を読んだ時、編集、技術、ビジネス、読者すべてを満たす人材はなかなか業界にいないという印象だった。
しかし、技術にある程度の理解やリスペクトがある編集者、ビジネス感覚がある技術者、(現実的な)読者体験について考え判断できる編集者、編集に理解があるデザイナーなど、そうした自身の職種以外の分野に関心や理解がある人はそこそこいるとは感じる。(全員だとは思えないが)
この記事で表現されているニュースプロダクトマネージャーがいないとしても、社内のそうした素養のある人材で協力してプロダクト思考で試すことも大事かもしれない。
# 🗾 国内ニュース
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【求ム!編集チーム】読者が“編集部の一員”に。角田陽一郎さんと雑誌スタイルの新メディアをつくるコミュニティ「Tropic編集チーム」をオープン(OSIRO)(オシロ株式会社)
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ポッドキャスト広告 20年目の転換点 なぜ「大きい番組」が正解ではなくなったのか(DIGIDAY[日本版])
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# 📕 出版関連ニュース
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# 編集後記
今年のM-1は前年からの流れとは違って、新しい芸人を発掘しようとしている意思を感じた大会でした。ファイナリストの人員を見るとかなりその雰囲気を感じます。
個人的には、2023年の敗者復活でみてから大好きだったエバースが最後まで残ったのは嬉しかったです。
年末の2週間ほど、色々な予定が詰まりすぎて大変ですが、12/26のイベントがんばろうと思います。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにて広告関連の担当や子会社事業のメディア担当ディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスに関わっていました。
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