検索トラフィックがゼロになる前提で考える Publidia #257
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最新回#48は以下になります。
# 🚩 トップニュース
食べログや価格.comを運営するカカクコムをめぐり、買収合戦が展開されている。
スウェーデンの投資ファンドEQTは5月12日、カカクコムの全株取得によるTOB(株式公開買い付け)を発表。買付価格は1株3,000円、総額約5,900億円規模で、カカクコムも賛同を表明した。非公開化により経営判断を迅速化し、AI投資を加速させる狙いがある。
これに対しLINEヤフーは米ベインキャピタルと共同で対抗提案を行い、5月14日には買付価格を1株3,232円(約7%増)に引き上げた再提案を発表。Yahoo! JAPANと価格.comや食べログとのシナジーを見込み、「次世代の収益モデル創出」を掲げる。
カカクコムの大株主にはデジタルガレージ(約20%)、KDDI(約17%)、香港のオアシス・マネジメント(約19%)がおり、今後の株主対応も焦点となる。(日本経済新聞)(Bloomberg) (朝日新聞)(47NEWS)
BuzzFeedが、メディア起業家Byron Allen氏に事実上の救済買収される。Allen氏のファミリーオフィスが1億2,000万ドル(約186億円)で52%の株式を取得し、CEOおよび会長に就任。創業者Jonah Peretti氏は20年間務めたCEOを退き、新設の「BuzzFeed AI」社長に転じる。
BuzzFeedは2016年頃、ViceやVox Mediaと並びデジタルメディアの旗手として注目され、評価額は最大17億ドルに達した。SNSのアルゴリズム変更やデジタル広告市場が厳しさを増す中で急落。2021年のSPAC上場以降、株価は98%超下落し、直近の株価は1ドル未満でナスダック上場廃止の警告も受けていた。直近四半期の売上高も前年比12.4%減、5,840万ドルの負債を抱え資金枯渇寸前だった。
Allen氏はローカルTV局を擁するメディア企業家で、BuzzFeedではストリーミングやUGC拡大、HuffPostへのローカルニュース追加などを計画する。
Viceは破産申請(現在は再始動中)、Voxも事業売却が進んでおり、2010年代のデジタルメディア新興勢力の時代は完全に終幕を迎えた。(Business Insider Japan) (Axios)(The New York Times) (Media Innovation)
# 📍 ピックアップ
今回は以下の内容をピックアップして紹介しています。
検索トラフィックがゼロになる前提で考える Condé Nast CEO、全ブランドに指示
検索トラフィックがゼロになる前提で考える Condé Nast CEO、全ブランドに指示
Condé NastのCEO Roger Lynch氏は、テック系ライブトーク番組TBPNへの出演において、検索およびソーシャルメディアのトラフィックを収益化するビジネスモデルの時代は終わったとの認識を示した。
同社は現在、傘下の全ブランドに対し、検索トラフィックが「ゼロ」になることを前提とした事業運営を求めている。
検索結果の変化
Lynch氏によれば、Condé Nastは過去3年間にわたり、毎年の予算策定時に検索トラフィックの減少を織り込んできた。
しかし、Googleのアルゴリズム変更がパブリッシャーにとって概ねネガティブに作用するパターンが続いていたため、実際の減少幅は毎年予測を上回り続けたという。
この結果を踏まえ、Lynch氏は昨年、社内チームに対して「検索がないものとして計画を立てよ」と指示した。完全にゼロになるとは見込んでいないものの、検索トラフィックは全体の一桁パーセントにまで縮小すると想定している。
Lynch氏は検索結果ページの変化を具体的に描写した。
7〜8年前の検索結果では、少数のスポンサーリンクに続いて「10本の青いリンク」が表示されていた。しかし現在の同じ検索では、AIオーバービューが最上部に表示され、その下に何列ものコマースリンクとスポンサード枠が並ぶ構成に変わっている。
Lynch氏は、権威あるブランド、強固なニッチ、あるいはダイレクトなオーディエンスを持たないメディア企業は、敵対的なアルゴリズム変更と戦い続けることになると述べた。
AIとの向き合い方
トラフィックの話題以外にも、TBPNでLynch氏は語っていることがある。
コンテンツ制作にはAIを使用せず、人間の手によるコンテンツ制作に投資していく方針であると。
以前、Vogueの誌面広告でAIを使用したことがあり、多くの反発が集まった。それにより、読者はAIではなく人間がつくったコンテンツを求めていると確信を持ったとのこと。
逆に、プロダクト開発現場ではAIを活用している。開発人員を半分にして再編して、開発スピードも速くなり効率化をはかったと語っている。
今後、立ちゆかなくなるメディアとは
事業計画は、色々なKPIを分解して売上計画を立てる。しかし、変動が大きいものや不確実性が高いものをKPIに組み込むことで売上計画の見通しは悪くなる。
特に、検索トラフィックとソーシャルメディアのトラフィックはアルゴリズムの変更で大きく変わる。それに加えて、AIの影響も出てきて不確実性が高すぎる。
Lynch氏が言うとおり、権威あるブランド、強固なニッチ、あるいはダイレクトなオーディエンスを持たないメディア企業は、今後立ちゆかなくなると強く個人的に感じる。
# 🗾 国内ニュース
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# 🌏 海外ニュース
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# 📕 出版関連ニュース
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# 編集後記
新潮社の新サブスクの詳細が出ましたね。


