Business Insiderの方針転換 Publidia #267

今回は、Business Insiderの方針転換について書いています。
アヨハタ 2026.07.27
誰でも

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# 🚩 トップニュース

米連邦地裁は7月20日、生成AIの学習に伴う著作権侵害を巡る集団訴訟で、Anthropicが15億ドル(約2400億円)を支払って米作家らと和解することを最終承認した。AI開発企業に対する米国の主要な著作権訴訟で和解に至るのは初めてで、裁判所によれば著作権を巡る集団訴訟の和解額としては過去最大となる。
訴訟は2024年に小説家アンドレア・バーツら3人が提起し、2025年9月に当事者間で和解内容が公表されていた。地裁は、同社がAIモデル「Claude」の開発にあたり海賊版サイトから無料でダウンロードした約700万冊について著作権侵害を認定。うち約50万冊を対象に、1冊あたり3000ドルを著者や出版社側に支払う。一方、合法的に購入した書籍をAI学習に用いた分は2025年にフェアユースと認められており、支払い対象には含まれない。
出版社側では、英Bloomsburyが自社の1万4087タイトルが対象に含まれ、弁護士費用など約1割を差し引いた後に同社と対象作家で約1900万ドルを受け取る見通しだと明らかにした。入金は分割で今会計年度後半に始まる可能性があり、収益は著者と分配される。(日本経済新聞)(朝日新聞)(The Guardian)

オンライン掲示板Redditが、AI向け利用を目的としたGoogleによるコンテンツへのアクセスを遮断することを検討している。Redditは2024年、GoogleにAI学習用データを提供する年6000万ドル(約98億円)の契約を結んだが、AIによる検索回答で外部サイトへのクリック数が減少しており、近く終了する契約の更新を巡り協議中とのこと。
USA TODAY、Politico、The Economist、People Inc.、ReutersもGoogleとの協力継続の是非を見直している。
パブリッシャーはAI学習のみを目的とするクロールは遮断できるが、AI回答と従来の検索結果の双方に表示させたい場合は両方のクロールを容認せざるを得ない。
Semrushによると、2025年6月から2026年6月の米国ユーザーの検索流入はUSA TODAYが18%減、Politicoが20%減、CNNとBusiness Insiderが各31%減。Googleは200社以上のパブリッシャーにAI利用の対価を支払うプログラムを立ち上げている(WSJ)

出版流通DX推進企業のPubteXは7月21日、出資元の講談社、集英社、小学館と連携し、RFIDタグの装着対象をコミックス以外の書籍へ今年度から段階的に拡大すると発表した。
経済産業省の返品削減研究会の方向性や「書店活性化プラン」を踏まえた措置。講談社は2028年度までに全書籍ジャンルへの装着を目指し、26年8月にKラノベ文庫などから着手する。集英社は9月から23年9月以前発売分のコミックス重版に装着し、文庫・新書は27年度から。小学館は弱粘性剥離ラベル型に変更のうえ、コミックス重版を7月、文庫を9月、新書を10月から装着する。書店業務の効率化と返品削減につなげる狙い。(株式会社PubteX)(新文化オンライン)

# 📍 ピックアップ

Business Insiderの方針転換 独自記事への注力

Business Insider(BI)が、自ら市場を切り拓いたアグリゲーション事業から撤退しつつある。2024年9月にウォール・ストリート・ジャーナルから移籍したJamie Heller編集長は、着任直後に「他社報道の再構成はやめる、追いたければ自分で裏を取れ」という方針を打ち出した。リライトは不可となり、独自ソースでの確認が必須化された。

分析記事にも話を前進させる新しい切り口が求められ、これまで要約記事を量産していた一般記者の多くに初めて担当領域が割り当てられた。同社初の編集基準の統括責任者として元Daily Beast編集長のTracy Connorを起用し、反論権やリーク文書、匿名ソースの扱いも厳格化している。
オリジナルコンテンツの比率は2024年の約40%から現在は80%超に上昇し、2025年のスクープは788本と過去最多を記録した。PR業界向けには約100人を本社に招き、プレスリリースではなく独占取材が欲しいという新方針を直接説明している。

BIは2007年、「Silicon Alley Insider」として創業した。ニューヨークのテック業界を対象とするブログ群の統合体で、2009年にBusiness Insiderへ改称している。
Facebook経由の流入が最大化した2010年代前半、BIは他媒体のオリジナル報道を手早く再構成した短尺記事とSNS最適化見出しでデジタル広告事業を拡大した。2014年にはニューヨーク・タイムズのDavid Carrが、BIのトラフィックはWSJに匹敵すると評した。
2017年に有料版「BI Prime」を開始し、2022年にはピュリツァー賞を受賞している。

BIは2015年に独Axel Springerへ3億4300万ドルで買収され、2025年完了の再編で、同社のメディア事業はFriede SpringerとDöpfner CEOが95%を保有する非公開会社として切り離された。Döpfner CEOは2023年の社内書簡で、AIは情報のアグリゲーションで記者を上回るとし、最良のオリジナルコンテンツを作る者だけが生き残ると述べていた
BIの現在の路線は、この親会社の方針と整合する。

数字面では明暗が分かれる。2026年第1四半期、「exclusive」タグ付き記事の購読転換率は非独占記事の約2倍となり、リピート訪問は8,500万件で、目標比6%増・前四半期比1,000万件増。エンゲージメント面では成果が出ている。
一方でサブスクリプション事業は低迷している。創業者のHenry Blodgetは2020年に「2025年までに有料会員100万人」という目標を掲げたが、2022年時点で約18万5000人、2025年には13万5000人まで減少した。
2025年11月には広告インプレッションを稼ぐため年末の数週間ペイウォールを解除している。人員削減は4年連続で、2025年5月に全社の21%、2026年5月にも司法・法曹担当デスクを中心に約10人を削減した。編集部は約250人、全社で約500人規模である。

今後の焦点は複数ある。
Barbara Peng CEOは2026年5月に退任し、Axel Springer上級顧問のChristian Baeslerが暫定CEOに就任した。恒久的なCEO人事と戦略の継続性が最初の論点となる。
有料会員が減り続けるなか、独占報道による転換率の改善が会員数の反転にどこまで結びつくかも問われる。

ロイター研究所が2026年1月に世界280社超のニュース発行社に実施した調査では、多少のリーチを失い一般ニュースの量を減らすことになっても、独自性を高める方向に活路を見出す経営層が多数を占めている

BIのとった選択は、AI時代のメディアの生き残りに有効なのか注目したい。
エンゲージメントの大事さはPublidiaでも何度か語っているが、ビジネスを持続するための収益も欠かせない。
今後、メディア企業がAI企業とライセンス交渉をしていく上で、独自性は交渉材料そのものになるだろう。

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 # 🗾 国内ニュース

  • noteの企業戦略2026骨子(深津 貴之 (fladdict) note)

  • 「エロ広告規制法案」国民民主党が提出 「表現規制では」との懸念も(ITmedia NEWS)

  • なぜ今ポッドキャスト?起業家けんすうさんが語る「音声」の生存戦略(朝日新聞)

  • Yahoo!ニュース 30周年特設サイト(Yahoo!ニュース)

  • 日本のコンテンツ産業と生成AI開発の持続的な発展を支えるデータエコシステム基盤「GaranAI」のベータ版を提供開始~多段階加工でデータを保護し、コンテンツホルダーの新たな収益機会とAI開発事業者の価値創出を支援~(ソフトバンク)

  • 文藝春秋PLUS公式チャンネル チャンネル登録者数74.8万人 タイアップ広告収入が倍増(The Bunka News デジタル)

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# 🌏 海外ニュース

  • Paramount Skydance、WBDの合併、連邦判事が一時停止を命じる(Axios)

  • Beehiivがニュースレター向け広告プラットフォームの規模拡大にプログラマティック広告を賭ける理由(adexchanger)

  • なぜ140万人が、無料で読める The Guardian にお金を払うのか(Audiencers)

  • Newsweekが学んだ、より深いブランド・パートナーシップの構築について(FIPP)

  • GoogleのAI概要(AI Overviews)に「トップニュース(Top Stories)」が導入されました。(Search Engine Land)

  • OpenAIがローカル展開を強化(Axios)

  • ページビューの時代は終わった。今や、トラフィックよりもオーディエンスの価値の方が高い(adexchanger)

  • ハースト社、記事本数の削減を記者に求める中、「なぜ(目的)」から着手(Press Gazette)

  • 「Claudefishing(クロードフィッシング)」に抗して ― クリス・ベスト(Substack CEO)(Substack)

  • アルファベット純利益18兆円、クラウド好調 スペースX上場も恩恵(日本経済新聞)

  • GoogleのAI検索は、いかにしてオープンなウェブを危機に陥れているのか(The New York Times)

  • EU、パラマウントのワーナー買収を承認 欧州の配給事業見直し条件(日本経済新聞)

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# 📕 出版関連ニュース

  • 取協、9項目の「出版流通合理化案」を発表 来年4月の開始目指す(新文化オンライン)

  • 紀伊国屋書店・藤則社長「チェーン店でも金太郎アメにしない工夫が大事」(日経ビジネス電子版)

  • 「マンガ離れ」「レコメンド疲れ」にどう挑む? 電子コミック界のフロントランナー3社が語る危機感、「戦い方は工夫次第」(オリコンニュース)

  • Kadokawa moves global e-book store to open DRM(Animenomics)

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# 編集後記

今回紹介した文春さんの動画メディアとPIVOTの決算の話は興味深いです。
文春さんは明言していませんが億程度の収益、PIVOTは純利益が3.6億円。

B2Bの広告予算が、この領域にシフトしている感じがわかります。そこを開拓したPIVOT社としては、次の領域に広げようとしている動きもあります。

レッドオーシャンになりつつありますが、動画を制作する体制、売りやすいフォーマットの開発など、営業と編集が組んで動いているところは成功しそうだなと感じます。

SUAN / スタートアップメディア🎈
@suan_news
【決算】経済メディア「PIVOT」、純利益3.6億円。<br />
<br />
儲かってます。<br />
<a href='https://compalyze.co.jp/company/9010401160615' target='_blank' rel='nofollow noindex noreferrer'>compalyze.co.jp/company/901040…</a>
2026/07/24 23:00
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老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにて広告関連の担当や子会社事業のメディア担当ディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスに関わっていました。

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