Spotifyポッドキャスト部門の人員を200人削減Publidia #114
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
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先日、とうとうChatGPTの有料版を契約しました。
積極的に活用していこうと思いますが、あくまで補助的に。全体を使うと、薄いコンテンツになるんだなと痛感しました。
# 今週のトップストーリー
📻 Spotifyの人員カット
既に色々なところで報じられているが、Spotifyがポッドキャスト部門の人員を大幅にカットする。
公式発表では、2019年以降、ポッドキャスト業界への投資を行い、米国でのポッドキャストのパブリッシャーとしても1位となり、リスナー数も成長し続けており、広告収益も大幅に増加したが、戦略の一環として200人程度(全従業員の2%)の削減を行うとのこと。
ポジティブな書き方ではあるが、投資の抑制と感じる。
MediaPostでは、Spotifyはアクティブユーザが5億人、有料会員が2億1千万人をかかえるが、2023年の第1四半期に約2億4,800万ドルの純損失を出していると伝えている。
まだまだ、音声市場全般は投資モードである。
📰 メディアジーンが台湾メディア企業と経営統合、ナスダックにSPAC上場
驚きのニュースが入ってきた。
メディアジーンが台湾メディア企業と経営統合、そして米国のナスダック市場にSPAC上場すると発表した。
メディアジーンは、日本版のGIZMODEやlifehackerやBUSINESS INSIDER、DIGIDAYやROOMIEなどメディアを多数展開する会社である。グループには、マーケティングコミュニケーション支援を行うインフォバーンなどもある。
この発表を受けて、東洋経済では代表の今田素子CEOのインタビューをおこなっている。
詳細は記事を読んでいただくのが良いと思うが、なぜこのタイミングで海外企業との経営統合、上場となったかがはっきりと語られている。
国内展開だけでは成長の限界を感じていたとのことで、この点はどのメディア企業も同じ課題は抱えているのだと思われる。ここまでダイナミックに動けたのはすごいと感じた。
個人的には、DIGIDAY日本版をもっと盛り上げてほしいと期待している。
⛓ NFTで電子書籍が売買・譲渡可能に
メディアドゥと早川書房が組んで、早川書房の新レーベル「ハヤカワ新書」をNFT電子書籍として販売する。リリースから引用をする。
今回提供する「NFT電子書籍」は電子書籍ファイル(EPUB)を活用しており、スマートフォンのビューアで読めるのに加え、ブロックチェーン技術によってどのユーザーが入手したかをNFTとして証明することができます。また、メディアドゥのNFTサービス「FanTop」上でユーザー間の二次流通(売買)などが可能で、ユーザー間での二次流通(売買)が行われるたび権利者へ収益を分配し続けることができる仕組みを提供します。
簡単に言うと、電子書籍が二次流通で売買ができるようになる。当然このハヤカワ新書のNFT電子書籍(数量限定)だけだが、大きな一歩になると感じている。
プロフィール部分にも書いてるが、メディアドゥ所属の時にこの取り組みをしている部門に所属していたので、やっと世の中に出たと感じる。
自身のリリースでは、見出しに売買などは書かれていないが、メディアでは「売買」というワードが出ている。
今回、アマゾンや楽天ブックスやおそらく書店でもNFT電子書籍つきのハヤカワ新書が発売されると思うので、一定量は流通すると思われる。
多くの出版社が参画しないとこの取り組み自体は活発化しないので、ユーザにとって良い方向に動けば良いなと感じている。
とりあえず、滝沢カレンの新書と、次回発売分の友人である塩崎省吾さんのソース焼きそばの謎は予約した。
どんな体験になるか、またタイミングがあえば書きたいと思う。
# 🗾 国内注目ニュース
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上場承認の株式会社ブリーチ、「定期D2Cのアドアフィリエイター集団」だった。過激化するWEB広告の実態に迫る。(Suan)
よくウェブメディアで出てくるコンプレックス商材の裏側についてわかる記事。 -
舞台制作会社 ネルケプランニングがサイバーエージェントグループに参画(株式会社サイバーエージェント)
2.5次元系の舞台を多く手がけるネルケプランニングがサイバーエージェントグループに。個人的にも衝撃のニュースでした、結構手がけていた舞台を見ていたので。2020年には講談社・小学館・集英社も出資している会社です。
# 🌏 海外ニュース
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フィナンシャル・タイムズ、生成系AIの活用に慎重な姿勢(Media Innovation)
AIを活用するところもあれば、慎重な姿勢のところもある。ただし、FTは見出しほど否定的な立場ではなくジャーナリストを支援するために責任をもって使える実験的なチームを置くなどする模様。 -
WordPress.com challenges Substack with launch of paid newsletters(TechCrunch)
WordPressをホスティングするWordPress.comでサブスクとプレミアムコンテンツをサポートするとのこと。ニュースレター、Substackを意識した動きとみえる。また、TechCrunchはWordPress.comはSubstackなどと比べて、ソーシャル面が弱いという指摘もしている。 -
Twitter’s U.S. ad revenue drops 59%(Search Engine Land)
米国のTwitterの広告収益が59%減少したとNTTが指摘。日本も減少したのでは、という噂話は聞く。新社長が立て直せるのか。 -
BuzzFeed Considers Sale of Complex Networks(The Information)
株価が芳しくなく苦しんでる米BuzzFeedだが、2年前に買収したComplex Networksを売却検討しているとThe Informationが報道。BuzzFeed News部門の閉鎖など、厳しい状況のためコストカットを続けていると思われる。
# 📕 出版に関するニュース
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【決算】丸善ジュンク堂書店 1億5000万円の最終赤字(文化通信デジタル)
丸善ジュンク堂の第13期の決算で最終損益は1億5900万円の赤字と発表。前期は9000万円の黒字であった。書店の経営は厳しい。 -
デジタル収入が前期比18%伸びた小学館の2023年2月期決算(セブツー)
小学館の決算、売上は前年より+2.6%増、経常利益は-18.4%。出版収入と版権収入がマイナス、広告収入とデジタル収入がプラス。デジタルはどの大手出版社も伸ばしてる状況。紙は今後も厳しいと思われる。 -
【決算】日販GHD 18年度以来最終損益マイナス 単体は営業損失20億円(文化通信デジタル)
取次事業が大幅減収。海外及びコンテンツ事業は過去最高。ただし、厳しい状況をただ耐えてるだけではなく駿河屋と組んだ店舗開発なったり他にもチャレンジをしており、生き残るための活動をしっかりおこなっている。 -
【出版時評】大手取次の本業が大幅な赤字に(文化通信デジタル)
文化通信の星野渉氏による出版取次の状況解説。日販、トーハンとも改革を進めていると感じる。 -
集英社マンガアプリ4媒体の媒体資料を同時リリース!ユーザーインサイトも充実(集英社アドナビ)
集英社のマンガアプリの媒体資料が公開されている。ジャンプ+の月間平均MAUが700万、ゼブラックが220万、マンガMeeが240万となっている。規模感の大きさを感じる。あと、何においてもデザイナーがきっちり媒体資料を作っているのが良いと感じる。 -
2023年5月次 電子書籍流通額成長率レポート(株式会社メディアドゥ)
メディアドゥから毎月発表されている電子書籍流通額成長率レポート。コミック、写真集は順調だが、書籍は前年同月比でずっと落ち込んでることが読めるが、何より雑誌の前年同月比が87.3%という点は気になる。(ただし、前月までは110%以上であった) -
集英社、“AIグラビア”の販売終了 「生成AIの課題について検討足りなかった」 Twitterも削除(ITmedia NEWS)
この件は、法務部に確認しながらとあるが、法務部が創造の範囲を超えていて、公開してから予想を超える反応があったのかと感じた。 -
MEDIA DAY TOKYO 2023
おもしろそうなイベントなので、最後におすすめしておきます。Axiosの元編集長などが登壇するようです。都合がつかないので行けないですが、ついてたら行きたかったです。
# 編集後記
紹介したイベントはオンライン配信がなさそうなのですが、徐々にリアルのみのイベントも増えてきましたね。世の中が戻りつつある、そう感じます。
今週も読み終わった方は、押していただけるとうれしいです。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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ポッドキャスト:アヨハタの金曜回帰φ瑠 / メディアのげんざい / 平日回帰φ瑠
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