Googleの「AI Mode」とは何か、そしてメディアへの影響はあるのか Publidia #210

今回は、The Guardian、過去5年で最多売上を記録 デジタル収益化が加速、PerplexityとITmediaが提携、Googleの「AI Mode」とは何か、そしてメディアへの影響はあるのかについて書いています。
ayohata 2025.06.01
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 # 📍 ピックアップ

今回は以下の内容をピックアップして紹介しています。

  • The Guardian、過去5年で最多売上を記録 デジタル収益化が加速

  • PerplexityとITmediaが提携

  • Googleの「AI Mode」とは何か、そしてメディアへの影響はあるのか

The Guardian、過去5年で最多売上を記録 デジタル収益化が加速

英紙「The Guardian」は2025年3月期に売上高が2億7500万ポンド(約533億円)に達し、過去5年で最高を記録した。デジタル読者収益が前年比20%増の1億ポンド(約194億円)超に伸び、定期課金のサポーター数は130万人に拡大した。
キャッシュベースの損失も3700万ポンド(約71億円)から2500万ポンド(約48億円)未満に縮小した。

2020年以降、同紙はパンデミック影響下でも安定的な収益を確保し、特にデジタル移行が功を奏した。2021年から2023年にかけては収益が微増を維持し、デジタル比率は常に70%前後を記録。
米国市場でも顕著な伸びを見せ、2024/25年度には米収益が5000万ポンド(約96億円)を突破した。

PerplexityとITmediaが提携

生成AI検索の新興企業として注目を集める米Perplexityが、IT系ニュースメディア「ITmedia(アイティメディア)」と提携した。
2025年5月には、Perplexityが提供する検索エンジン上で、ITmediaの記事が直接引用されるようになり、コンテンツの可視性と収益化の新たな可能性が生まれている。

Perplexityは、ChatGPTのような自然言語インターフェースを活用し、リアルタイムで信頼性のある情報を提示するAI検索プラットフォームである。
同社は現在、世界の有力メディアと提携し、引用元を明示する「責任あるAI検索」の構築を進めており、日本においてもその一環としてITmediaとの連携をスタートさせた形だ。

しかし、日本ではこのようにメディア企業が海外のAI企業と直接提携する例はまだ限られている。今回のITmediaの事例に先立ち、NewsPicksが同じくPerplexityの収益シェアプログラムに参加したことがあるが、それ以外には顕著な例は多くない。

一方で、AIとメディアの連携の必要性については、国内でも徐々に関心が高まりつつある。
2024年には読売新聞とNTTが生成AIの無秩序な活用に警鐘を鳴らす共同声明を発表した。これは法整備を求めるものであり、直接的なビジネス提携ではないものの、AI時代における報道の在り方を模索する動きの一つといえる。

対照的に海外では、AI企業と報道機関の提携は着実に進行している。
米国ではThe Associated Press(AP通信)がOpenAIと提携し、自社アーカイブの提供を通じたAIモデルの学習支援を行っているほか、The GuardianやFinancial TimesもAI企業と協議を進めていると報じられている。
また、2025年5月29日にNYTとAmazonの提携が発表されている。

日本のメディアが今後も競争力を維持するためには、AIとの協業を単なる効率化の手段にとどめず、読者との関係構築や収益モデルの再構築へと昇華させる戦略が求められる。

ITmediaはそうした動きがスタートしたが、伝統的なメディア企業はこれに続くか注視したい。

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 # 🗾 国内ニュース

  • 今この時代にメディアをやる意義ってなんだろう?(前編)(Eat, Play, Sleep inc.)

  • あらゆる垣根を飛びこえて。 白黒になった文化にグラデーションを(後編)(Eat, Play, Sleep inc.)

  • ナスダック上場したTNLメディアジーン、2024年度の業績は売上伸長も赤字継続・・・成長戦略は人材とM&A(Media Innovation)

  • インターネットニュースの有料サービスを利用している人は1割にも満たない(2024年度版)(不破雷蔵 エキスパート - Yahoo!ニュース)

  • 子ども向けサイトにも"エロ広告"、実態調査の男性が警告「放置すればネットが壊れる」(弁護士ドットコム)

  • 購買につながる広告形式は「動画広告」が2年連続トップに。SNS広告の購買行動調査/PRIZMA調査(MarkeZine)

  • Japan SEO Conference2025(Faber Company)

  • クラシル運営のdely、クラシルに社名変更(RTB SQUARE)

  • 【TVer】2024年度の動向をまとめた「数字で⾒るTVer広告」発表(TVer INC.)

  • スマートニュース、広告配信の利便性と精度を高める新機能を順次提供へ 「セルフサーブ型広告」と「地点半径ターゲティング」が登場(スマートニュース株式会社)

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# 🌏 海外ニュース

  • コストコ、マイクロソフト、デルタ:企業ストーリーテリングが印刷媒体の復活を遂げる(Axios)

  • 英紙テレグラフ、米投資グループが買収へ(AFPBB News)

  • Diggの創設者ケビン・ローズが、MozillaからPocketの買収を提案した(TechCrunch)

  • ChatGPT 、ニュースサイトへの送客が急拡大 全リファラルの8割がメディア向けに(DIGIDAY[日本版])

  • なぜ Cookie は維持されたのか? ザ・トレードデスクCEOはこう考える(DIGIDAY[日本版])

  • BBC History誌における最新のデジタル実験として、サブスタックのサービス開始が発表されました(Press Gazette)

  • Google Search ConsoleでAIモードのパフォーマンスを表示できますが、そのデータを個別に抽出することはできません(SearchEngineLand)

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# 📕 出版関連ニュース

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 # 📍 ピックアップ

Googleの「AI Mode」とは何か、そしてメディアへの影響はあるのか

Googleは検索の未来を左右する新たな試み「AI Mode」を発表した。
これは、生成AI「Gemini」を活用して検索の在り方そのものを刷新する試みであり、従来のキーワード検索から脱却し、対話型かつパーソナライズされた情報探索を実現するものである。
その「AI Mode」がアメリカで2025年5月20日に導入された。

複雑な検索にも対応する「AI Mode」の仕組み

AI Modeは、ユーザーが自然言語で入力した質問に対し、Googleの生成AIがリアルタイムで応答を生成する新しい検索モードだ。単なるリンクの提示ではなく、関連情報を統合し、要点を整理した文章で結果を提供するのが特徴である。

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