日本と米国、メディア企業の「不動産収入」依存度の違い Publidia #206
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日本と米国、メディア企業の「不動産収入」依存度の違い
毎日新聞GHDが、東京・竹橋にある本社ビル「パレスサイドビル」の再開発・売却検討を開始したと報じられた。
竣工から60年近くが経過した昭和建築の名作だが、毎日新聞GHDは経営悪化により、1500億〜2000億円規模での再開発プランを大手デベロッパー6社に打診。ビル活用の最大化を目指している。
毎日新聞GHDは2024年3月期には売上高約1267億円に対し、営業赤字12億円、最終赤字15億円を計上しており、不動産資産の活用が生き残り策となっている。
一方、米アクティビストのダルトン・インベストメンツは、フジ・メディアHDに対して、社外取締役の総入れ替えを提案するとともに「不動産事業の切り離し」を求めた。
ダルトンは不動産収益に甘え、本業の放送・メディア事業改革が遅れた結果、肝心のメディア競争力を失ったと指摘する。
同様の批判は日本の新聞社以外にもメディア企業に向けられている。
果たして、不動産収入に頼ることは悪いことなのであろうか。
例えば、日米の大手メディア企業を比較すると、「不動産収入」の存在感に大きな違いがある。
日本では新聞社やテレビ局を中心に不動産収入が本業を支える重要な収益源となっているが、米国では逆に不動産収入の割合は極めて低いのが実情だ。
日本では、たとえば朝日新聞社が売上の約15%、フジ・メディア・ホールディングスが約22%を不動産・観光事業から得ている。TBSホールディングスも約4%程度だが、不動産部門の利益率は高く、全社利益の6〜7割を稼ぐ年もある。
朝日新聞の場合、不動産収入は400億円規模に達しており、本業の新聞事業の赤字を実質的にカバーする存在と言われている。
一方、米国ではニューヨーク・タイムズ社が自社ビル賃貸収入を得ているものの、売上に占める割合はわずか1%程度。他の新聞社や放送局も自社資産を売却・リースバックする動きが主流で、ウォール・ストリート・ジャーナルを抱えるダウ・ジョーンズ社やCBSなどは、現在ほぼ不動産収入を持たない。
収益の中心は購読料や広告、コンテンツ販売に完全にシフトしている。
日本で不動産収入の割合が高い企業の特徴は、都市部に大型ビルを保有している点だ。
朝日新聞の「中之島フェスティバルタワー」、フジ・メディアHDの「赤坂サカス」や「サンケイビル」など、好立地で賃料単価も高い不動産を持つ企業ほど、本業低迷下でも安定収益を確保できる。一方、規模が小さい出版社や地方メディアは不動産収入の寄与が限定的で、事業環境に左右されやすい。
しかし、本業以外に不動産収入があること自体は、決して「悪」ではないと考える。
メディア業界は広告市場縮小やデジタル化の波に直面しており、安定収益源としての不動産活用は経営リスクを下げる有効な手段だ。
しかし、前職が「パレスサイドビル」で働いていたので個人的に感じることがある。
老朽化もさることながらアクセスも悪いので、どこまで再開発で経済効果がでるかは疑問である。
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