15人のスタッフで1500万ドルの収益をあげるニュースレター Publidia #160
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# 15人のスタッフで1500万ドルの収益をあげるニュースレター
PressGazetteで、15人のスタッフで1500万ドル(約23億円)を稼ぐニュースレター1440 Mediaが紹介されている。
1440 Mediaは読者数350万人、月間25万人のベースで増加しており、広告を活用して読者を集めている。
この1440 Mediaは広告で収益をあげており、年間収益は1500万ドル(23億円)となっている。
ニュースレターでは、他のニュースサイトのリンクを含む要約形式で、毎日配信されている。
CEOはベンチャーキャピタルなどを経て2017年に1440 Mediaを設立している。
ニュースレターという配信形式は米国で盛り上がってるが、日本ではまだまだ途上である。また、こうしたニュースを配信するニュースレターもあまり多くない印象がある。
ここ数年、投資資金がメディア事業に対してあまり集まってないということも理由があるのかもしれない。
また、日本でも報道機関を独立してメディアを立ち上げる人はいるが、個人で勝負する形式が多い。元日経新聞記者の後藤氏が成功例で語られているが、あまり成功例が多く感じない。
ただし、1440 Mediaは2021年に5万ドル(約770万)を調達しているが、その1回のみと思われる。(CrunchBaseより)そのため、決して膨大な資金で赤字を垂れ流して運営している事業ではない。
有料広告でユーザを集め、媒体価値を上げて広告で収入を得て運営がされている。
これは、CEOが元ベンチャーキャピタルで資本をどう使うかに熟知しているからこそできるかもしれない。
最近いくつか、記者経験者がネットメディアを立ち上げて資金調達ができず終了したいう話を見かけた。
小規模で運営する場合、資金調達などの経営とプロダクトや記事づくりもほぼ一人で対応しないといけないという点では、余裕がなくジリ貧になってしまう。
経営のプロも引き入れて、会社を安定的に運営していくという考えも持った方が良い、とこの記事を読んで感じる。
📻 音声配信のお知らせ
だいたい週3回、Catalyst by Publidiaというポッドキャストを配信しています。
今週は、「休刊した雑誌がクラウドファンディングで復活?」「出版社の買収訴訟で明らかになった、米国で「本が売れてない」?」というエピソードを配信しています。
Spotify、Apple Podcast、LISTENで聴くことができます。
# 第三者からみた「価値」を考える
DIGIDAYで、日経ビジネス電子版リニューアルの裏側について関係者のインタビューが出ている。
本記事では、コンサルティングとデザインサービスを提供するパートナーと組んで、刷新を進めたと語られている。
そして、顧客体験の重視を目指した。その中で、運用体制の構築の重要度も語られている。
そして、顧客体験の満足度という評価に関して、AEスコアというものを導入したり、いわゆる質の評価もできるようにしている。単純にPVという量だけの指標にとらわれていない。
また、PVが多いこと=顧客体験の満足ではないと個人的には感じる。
また、本記事冒頭の以下の一説はとても重要だと感じる。
これからのメディアビジネスはどうあるべきか。
多くのパブリッシャーがその答えを模索するなかで、今年2月20日にリニューアルした「日経ビジネス電子版」は、読者を「顧客」に置き換えることで社内の意識を変えていった。
誰でも読める記事のようなので、気になる方は一読いただきた。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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読売新聞が、生成AIやソーシャルメディアの情報の信頼度について調査を行なっている。生成AIに関して不安に感じるという回答は少なくはないようだ、また途中にオリジネーター・プロファイルを使いたいと思うか?という質問に使いたいという回答が93%となったが、なかなかアンケートとしては悪手な聞き方だと感じる(読売新聞)
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関連して、オリジネータープロファイルの進捗について記事になっている。記事を読むに、ブラウザの拡張機能というわざわざユーザが自主的にインストールする方法で提供するように感じる。(共同通信)
使用方法について公式サイトでも詳細が書かれてないので、オリジネーター・プロファイルの団体へ質問を送っているがまだ回答はないので、回答があれば共有したい。
その他のニュース
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<オウンドメディア実態調査>8割「オウンドメディアの効果」を実感するも「コンテンツ数の維持」は課題(株式会社宣伝会議)
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博報堂DYMP、ポッドキャストCMの分析ツール(日本経済新聞)
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メディアビジネスの改革を進める電通の新組織「MCx室」を徹底解剖(TECH+)
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中日グループの顧客データを統合・可視化。フューチャーアーキテクトが支援する中日新聞社のデータドリブン経営と地域活性化。(フューチャー)
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Twitter Japan、23年12月期決算は最終利益66%増の4億6000万円と大幅増益を達成(gamebiz)
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デジタル音声広告は“広告とコンテンツ”の理想的な関係を築けるか Spotifyの成功事例から考える(Real Sound)
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KADOKAWAがアナログゲームメーカー大手・アークライトをグループ子会社化(電ファミニコゲーマー)
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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Axel SpringerのCEOは、大言語モデル(LLM)によるメディアの破壊リスクを認識し、OpenAIとの契約を締結した。この契約は、オリジナルコンテンツの提供とその報酬に関するものである。CEOはメディアの未来に向けた新たな法的枠組みの必要性も強調してい(PressGazette)
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Financial Times(FT)はOpenAIとライセンス契約を締結し、ChatGPTユーザに記事の要約、引用、リンクなどが表示されその際、権利はFTに帰属が表示される。また、FTとOpenAIは新たなAI製品開発にも協力すると発表している。(The Verge)
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Googleは、WSJを所有するNews CorpとAIコンテンツ開発に関して契約を結んだようだ。まだ、詳細はわかっていないようだが最大年間600万ドル支払いすることに同意したとのこと(mediapost)
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こちらは提携ではなく、訴訟だ。
New York Daily News, Chicago Tribuneを含む8紙が、著作権侵害でOpenAIとMicrosoftを訴えている。これらの新聞を所有するファンドAlden Global Capitalが、記事が許可なく利用されたと主張している。(The Verge) -
Xが生成AIをつかってニュースの要約を開始したと発表した。また有料会員向け機能かつ、米国のみだがX上のツイートなどをベースに生成されるとしたら偏りは大きそうとこじんてきにはか(日本経済新聞)
その他のニュース
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ソニーなど、米メディア大手に4兆円で買収提案 米報道(朝日新聞デジタル)
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テイラー・スウィフトの「AIクローン」、ティックトックが排除約束(Bloomberg)
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広告市場が回復傾向、Meta、Alphabet、Snapの成長加速(CNBC)
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米 パブリッシャー の広告収益は「良好」。好調を支えるのは上昇傾向のプログラマティックCPM(DIGIDAY[日本版])
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The Atlanticが学生をターゲットにしたグループ購読を開始(ADWEEK)
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黒字化と100万契約数を達成したThe Atlanticの次なる目標(Press Gazette)
# 📕 出版に関するニュース
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『文學界』編集長・浅井茉莉子インタビュー「文芸誌が生き残っていけるかは、たぶんこの5年10年くらいが正念場」(Real Sound)
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休刊のレコ芸 「熱い声受け」 ウェブでの復活へ資金クラファン(毎日新聞)
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オンデマンド出版広がる ニッチな本、編集支援に商機 活字の海で(日本経済新聞)
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オレンジ、総額29.2億円のプレシリーズA資金調達を実施(株式会社オレンジ)
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トーハン・近藤社長 出版社の流通コスト負担強く求める トーハン会代表者総会開催(The Bunka News デジタル)
# 編集後記
まだ噂レベルですが、電子書籍ストアのめちゃコミを所有するインフォコムの株式を親会社の帝人が売却すると報道されています。ファンド2社とソニーグループのソニーミュージックが名乗りをあげているようで、個人的に電子書籍業界のまた再編が進むと感じ、詳報を待っている状況です。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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