Publidia #113

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ayohata 2023.06.04
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今週もよろしくお願いします。

最近暑くなってまいりました、半袖にしようか長袖のままで良いか悩む毎日です。

***

# 今週のトップストーリー

📖 読みやすさは数値に良い影響がある

Yahoo!ニュースにて、文字と行間の適切な設定について、興味深い調査を行なっている。
文字の大きさや行間を調整し、読みやすさを向上することでKPIに貢献するか検証している。

方法は以下の通りだ。

1.予備実験として、文字の大きさ行間を30種類の組み合わせで、以下の項目についてアンケートで回答してもらい、最適な設定を探る。

  • 文章の長さ

  • 文書の量

  • 文字の大き

  • 行の間隔

※実験参加者の年代や視力なども考慮した上で、結果は分析が行われている

2.予備実験をもとに、3案をABテスト実施して、以下の数値変化を計測する。

  • PV

  • PV/UB

  • 回遊

  • 読了率

  • 読了時間

デザインの改善により、ビジネスにもきっちり波及できる好例だと感じる。
ただし、文中でも書かれているが、どこかが改善することでどこかの数字によくない影響が出る部分もあり、基本的にはトレードオフであると。

この記事を書いた鈴木氏は記事の最後で、この小さな改善をミクロUXと名づけており、サービスのさまざまな所に改善の余地が眠っているという言葉を最後に書いており、とても共感できる。

改善することやABテストは、こうやってきっちり計測して検証することがとても大事だ。また、評価に使えない数値で比較や評価をしようとする人もいる。例えば、違う記事ごとでのPVやSNSのRT数など(やそれに類するネタごとで数字がそれぞれバラバラなもの)で評価することだ。
正直な話、こういった設計は専門家に任すか、こうしたテストや評価について書かれてた本を読んで取り組むべきだと感じる。

🗺 海外のローカルメディア

2021年にスタートした、米Axiosが都市別のローカル情報を伝えるニュースレターAxios Localが苦戦しているとADWEEKが伝える。

Axios Localは2023年に7月に30都市に到達するが、拡大を一時停止。
理由は2022年に、収益目標が10%届かなかったことを受けてとのこと。
Axios Localの目標が100都市だが、このペースだと到達が遠い模様。

ローカルニュース領域は、過去AOLに買収されたローカルニュースメディアPatchが苦戦をしたりと難しい分野ではある。また、アメリカでは地方紙が厳しい状況で、TwitterでもこのADWEEKのニュースをみてほら見たことかという意見もちらほら見える。

日本ではまだまだ地方紙が存在感もあり有料のウェブ版も多くある。
ウェブメディアだと大阪府枚方(ひらかた)市の情報に絞った枚方つーしんや、その枚方つーしんを運営する株式会社morondo.が神奈川県大和市の情報に絞ったやまとぴなどもある。

個人的には、このモデルが成功することを期待したい。

🗺 週刊朝日の休刊を受けて改めて考える週刊誌

週刊朝日が5月30日発売号をもって休刊となった。
それを受けて週刊誌について語っている記事が色々と出ている。

個人的には、とてもネガティブな論調の記事も出ていて、ヤバいとだけ書いてるものは一体どうしたいんだろう...という気持ちになる。

いくつかポジティブなものを紹介したい。

ハルメク編集長が語る紙媒体の役割。ハルメク自体はウェブメディアも持っているが、定期行動という直接つながってターゲットのことをちゃんと考えることの重要性が語られている。そして、ウェブメディアでは実現できないが紙媒体でできることや役割を語られている。

雑誌「LDK」は雑誌事業"だけ"では赤字だが、認証マーク事業で成り立たせているという話である。商品評価を行う関係で、広告はなしで行なっている雑誌である。

最後に、Real Soundより。新聞系メディアの難しさを語りつつ最後に書かれている文章がとても良いと感じた。
メディアごとに実現できることがそれぞれ違う。裏を返すとウェブメディアでは紙媒体に勝てない部分もある。雑誌のあり方をあらためて考え直す時期にきていると考える。
出版社で余力があるところが余力のあるうちに。

雑誌は速報性でWEBメディアに勝つことは不可能である。だからこそ、スクープをとる、記事の内容を充実するなど、独自色を打ち出していかなければ生き残れない。今回の休刊発表を機に、週刊誌や、雑誌の在り方を今一度考え直すべき時期に来ているといえる。

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 # 🗾 国内注目ニュース

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# 🌏 海外ニュース


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# 📕 出版に関するニュース

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# 編集後記

今週、ポッドキャストの収録が立て込んでるので乗り切らないと。

今週も読み終わった方は、押していただけるとうれしいです。

ここに配置されたボタンは、ニュースレター上でのみ押すことができます。
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老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。

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