NYTのオーディオアプリ立ち上げのプロセス Publidia #137
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
毎週末にメールでお届けしています、よかったらご登録ください。
今週もよろしくお願いします。
寒くなってきましたね。
来週のがっちりマンデー!!がnote特集ということで注目ですね。TVerでも見られるので、当日朝起きれなかったら見逃し配信で見ようと思います。
お知らせ
本ニュースレターでは取材や執筆継続のために、サポートメンバーを募集しています。
# 💬 OpenAIの内紛
OpenAIで内紛が起きている。
先週、軽くふれたがそこから大きく状況が変わりサムアルトマンCEOはOpenAIに復帰するとなっている。
その状況から変わることはないと思いたいが、正直このあと何が起こるかはわからない。
解任された流れも、関わるマイクロソフトへの通知も直前ということも、ガバナンス不全によって起きてるように感じる。これは、OpenAIの運営体制が少し変わっているからである。Wiredで解説されている。
しかし、AIは便利なものであるのは確実であるが、今後活用は進むであろうが、どのように浸透していくか、影響があるかはわからない。
AIとの向き合い方については、パブリッシャーは防御するという対応をとっているところも多いが、活用については常に考えておくべき必要があると感じる。
# 👥 NYTのオーディオアプリ立ち上げのプロセス
ニューヨーク・タイムズ(NYT)が、オーディオジャーナリズムに特化した新アプリ「New York Times Audio」を開発した。このアプリ開発にプロセスについて、The NYT Open TeamがMediumで公開している。
「New York Times Audio」は、NYTが制作するポッドキャストや「This American Life」「Serial」などの有名番組や選ばれた記事の朗読などを提供している。
このプロセスで興味深い部分は、デザイン部門と編集部がユーザ調査をもとにデザインに反映していってる点である。ユーザの意見を正しく取り込むことは難しく、ベストなUXを構築することは重要である。
また、アクセシビリティについても意識的に取り組んでる点も着目したい。アクセシビリティの対応は当たり前であるべきだが、後手に回ってることも多い。新規のデジタルプロダクトで率先して取り組めてる点は素晴らしいと感じる。
なぜ、ベストなUXを構築することが重要なのか。
ユーザがアプリやサービスを使い始めて、途中でわからなくなったら離脱する。アプリは2度と立ち上げてくれない、もしくはアンインストールする。それを避けることは重要だ。
立ち上げたあと、無事に初回起動がおわったあと2回目立ち上げるきっかけはあるか。ユーザが思い出して立ち上げてくれるように、印象をつけているか、仕掛けを用意しているか。アプリの種別によって違うが、平均でプッシュ通知許諾率は60%という調査もある。
アプリの成功は難しい。そのために、ベストなUXを構築することは重要なのだ。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
-
YouTubeは生成AIに関連する新ガイドラインを発表した。AIで改変・合成されたコンテンツは開示が義務付けられ、違反するクリエイターは罰則の対象になる。また、ディープフェイクなど無断で使用された顔や声の削除リクエストが可能になり、音楽レーベルもAI生成コンテンツの削除を求められるようになる(ITmedia)
-
日本のアニメや漫画を世界に届ける「Tokyo Otaku Mode」が、小学館によって買収された。買収後も、現在の経営陣が続投予定で、会長には小学館の代表取締役 相賀信宏氏が就任する(Tokyo Otaku Mode)
Tokyo Otaku Modeはクールジャパン機構から出資を受けた第1号案件であったが、クールジャパン機構の本件リリースでは"出資から9年が経過し、当機構としても TOM の次なる展開を模索していました"とあり、エグジットができない状況に関して何かしらのプレッシャーはあったのだと感じる。(VCやファンドからの出資を受ける場合はよくある事だ)
出版社などの越境ECなどに関わってる話は聞いていたが、あまり大きな動きは見えてなかったので、今回の小学館による買収はTokyo Otaku Modeにとってはどういう意味合いがあるかはわからないが、少なくとも経営的には安定するのでそこは良い話かもしれない。
その他のニュース
-
テレビ北海道、お天気キャスターにデジタルヒューマン起用 視聴者と「不気味の谷」について考える(ITmedia NEWS)
-
note、AI領域における新事業に取り組む子会社、note AI creative株式会社を設立(note)
-
神戸新聞NEXTで日経電子版の人気記事が読める! 暮らしやビジネスに役立つ情報満載(神戸新聞NEXT)
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
-
BuzzFeedのCEOジョナ・ペレッティ氏は、BuzzFeed、コンプレックスネットワークス、ハフポストの統合が期待通りの成果を出せていないと社員に伝えた。2021年のSPAC上場後、BuzzFeedは債務増加、売上減少、人員削減、BuzzFeedニュース閉鎖、上場廃止の危機に直面しておりコンプレックスの売却を検討中で、ペレッティ氏は新戦略として各ブランドに焦点を当てる方針を示した(DIGIDAY[日本版])
-
モデルのカーリー・クロスが新会社ベッドフォード・メディアを設立し、イギリス発のストリートカルチャー誌『i-D Magazine』を買収する。経営不振のVice Mediaグループからの買収で、カーリーはCEOに就任予定とのこと。(Vogue Japan)
-
TikTokは若いアメリカ人の間で主要なニュースソースとして成長し、2023年にはアメリカ成人の14%が定期的にニュースを得ており、特に18-29歳の層で顕著である(O'Dwyer's PR News)
-
Guardianは、クッキーを拒否する読者にも関連する広告を表示できる新しい広告製品「Guardian Light」を発表した。この製品は、ページの内容に関連する広告を配置することで、プライバシーを重視するユーザーにリーチする。これにより、プライバシーを意識したブランドに最適な広告を提供する(PressGazette)
その他のニュース
-
SpotifyはGoogle CloudのAIを使用し、約500万のポッドキャストと35万のオーディオブックのメタデータ分析を強化する。レコメンドの改善と有害コンテンツの特定にも取り組む(The Verge)
-
「メディア王」マードック氏、経営から正式引退(日本経済新聞)
-
ソーシャルメディアは常に変化し、ブランドやマーケターは新しいプラットフォームに対応する必要があるが、すべてに追いつくのは不可能である。
重要なのは、広告的影響力と文化的影響力のバランスを持つ、持続可能なソーシャルメディアを見極めることである。Clubhouse、Meta,TikTokとそれぞれどう向き合うべきか(DIGIDAY[日本版]) -
TikTokとMetaは、米国外で広告なしのサブスクリプションプランを試験運用中である。新たな収益源となるが、ターゲティング広告の減少が懸念される。中小ブランドは広告依存度が高く、新しいマーケティング戦略が求められる(DIGIDAY[日本版])
-
Esquireは90周年を迎え、デジタルの可能性を取り入れつつ、印刷メディアの遺産に忠実であることを目指している。編集長のマイケル・セバスチャンは、過去を振り返るだけでなく、未来を見据え、「次の90年」をテーマにした編集パッケージをデジタルと印刷の両方で展開している(FIPP)
-
公共メディアのポッドキャストは、広告収入の減少やリーダーシップの欠如などの課題に直面している(Nieman Journalism Lab)
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
-
電子書籍取次のメディアドゥは、NFTを雑誌や書籍のデジタル特典として活用する事業を拡大中である。2023年12月からは漫画雑誌「週刊漫画ゴラク」のデジタル特典版にNFTを採用し、新連載を掲載する(日経クロストレンド )
-
本屋B&Bなどを手がける内沼晋太郎氏が書店主・書店員向けに、週刊ニュースレターを開始する。また、12月中旬からはYouTubeとPodcastで番組も始めますことも発表している。
内沼氏のXでは、書店に関する情報発信が積極的にされており注目の人物でもある(内沼晋太郎 note) -
Nebraskaが開発した無人営業化ソリューション「MUJIN書店」の2号店が、11月21日に新宿区のメディアライン曙橋店でリニューアルオープンした。有人営業時間は午前11時から午後8時、無人営業時間は午後8時から午前11時となっている。
世田谷区の山下書店が実験店としてスタートしたが続いてるということは一定の効果があったと思われる。
書店が大型化もしているが、独立系書店、無人化など新しいスタイルがどんどん増えている(新文化)
その他のニュース
-
阿佐ヶ谷から本屋が消える 太宰治 井伏鱒二も集った街で…(NHK)
-
飲食事業がついにスタート!“半年間赤字続き”の現状から抜け出せるか?(freee公式編集部)
-
ブックセラーズ&カンパニー・宮城剛高社長に聞く 志をともにする出版社、書店と 持続可能な出版流通サイクルを(文化通信デジタル)
-
有隣堂、書店員の偏愛に懸ける 複合店の集客に活路(日本経済新聞)
-
“紙の本+NFT”が200万部 FanTopが長期で取り組む内容とは(Impress Watch)
# 編集後記
年越し、どの番組を見て過ごそうか悩み中。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
SNS
メディア
ポッドキャスト:アヨハタの金曜回帰φ瑠 / メディアのげんざい / 平日回帰φ瑠
ニュースレター:Raisin On The Sylveine
コミュニティ:Discrod
すでに登録済みの方は こちら