Google独占禁止法違反で審査へ Publidia #133
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# 🔍 Google独占禁止法違反で審査へ
公正取引委員会は、米Googleがスマートフォンの初期設定で自社の検索サービスを不当に優遇している疑いで、独占禁止法違反の疑いで審査を開始した。
Googleはスマホメーカーに、アプリストアの使用と引き換えに、自社の検索アプリやブラウザーを搭載するよう要請していたとされ、日本のネット市場では、Googleが7割超のシェアを持っている。欧米では、Googleに対する規制や制裁が進められている。
Googleの包囲網が進んでいる。
以前から、Googleの支配的な地位を得るためのシステムは言われているが、わかりやすく説明しているデータを調べたが、ニッセイ基礎研究所のレポートがわかりやすいので紹介しておく。
ただ、検索エンジンについては、他の検索エンジンが勝てる要素がないとも感じており、そう落とし所をつけるのかは気になるところである。
# 📰 簡単でわかりやすい
Axiosの共同創設者であるJim VandeHei氏は、オーディエンスを最優先に考えて記事を書くことを提案している。
彼は、脳がクリックしたものが気に入っているかどうかを判断するのに17ミリ秒しかかからないという研究を引用し、伝統的なメディアでは、人々は言いたいことを溺れさせる余計(まわりくどい)な言葉を使う傾向があると指摘。
彼の提唱する「スマートブレビティ」は、必要なニュースや情報を優先し、その影響を説明し、それを簡潔かつ視覚的な形式で提供することを重視している。
AxiosやMorning Brewは短いニュースでわかりやすく、ニュースター形式で若い世代に支持されていると言われている。
日本でも、日経新聞が3分で世界がわかる有料サービスなど開始するが、AxiosとMorning Brewは多くの情報を得るのに無料で使える。その点は大きな違いがある。
若い世代を惹きつけるにはわかりやすく、手に入れやすい配信方法が重要である。
# 🧠 AI関連ニュース
音声クローン技術やSpotifyの新機能について紹介されている。
音声クローン技術は、特定の声をAIに学習させて再現するもので、著作権の問題が浮上している。
Spotifyは「Voice Translation」という機能を発表し、ポッドキャストの声を他の言語に吹き替えることが可能に。この技術はOpenAIの音声技術と「Whisper」を利用している。
言語の壁が低くなることで、情報発信・収集が容易になるが、誤訳のリスクも考慮する必要がある。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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サイバーエージェントが苦戦している。2021年に「ウマ娘プリティーダービー」リリース後に時価総額が1兆円を超えたが、現在は4000億円未満である。ゲームの課金収入減少と主力事業の課題が影響だったが、23年にはゲーム事業が赤字化となった。主力事業の課題が依然として残っている。「ABEMA」は視聴者数増加中だが、ネット広告事業の採算が悪化している(日本経済新聞)
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TBSを中心としたJNN28局が取材したニュースを統合するプラットフォームTBS NEWS DIG は2022年4月の立ち上げから好調を維持している。4カ月で1億PVを突破し、2023年6月からは3カ月連続で2億PVを超える成果を上げている。直近の8月では、月間2.5億PV、4500万ユニークブラウザーを記録。NEWS DIG企画開発室長の南部諒生氏は、収益よりもユーザーにニュースを届けることの重要性を強調しており、ユーザーに記事を効果的に届けるための「レコメンドエンジン」の導入についても触れられている(AdverTimes.)
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Googleは「YouTube Brandcast2023」というイベントが開催した。日本の18歳以上の月間YouTube利用者は7,120万人以上で、テレビデバイスでの視聴者は3,800万人以上と発表した。グーグル日本法人代表の奥山真司氏はYouTube広告の最新動向やROIの検証について言及している(AdverTimes.)
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朝日新聞は「朝日新聞メディア指標」を公表した。
2023年10月のデータでは、朝刊+デジタル有料会員が387.6万、朝日ID会員数が621万、月間UU数が3382万、LINE友だち数が578万となっている(朝日新聞社)
その他のニュース
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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Netflixは、2年連続の料金値上げを発表した。また、ゲームと広告を新たな収益源として育てるとのこと。ゲームは「イカゲーム」を題材にしたゲームの開発が進行中とのこと。広告事業では、最安の広告付きプランを提供し、会員数が増加している。
最近の業績は好調で、9月末の会員数は2億4715万人に増加している(日本経済新聞) -
SpotifyがPremiumリスナー向けの無料オーディオブックを提供する計画について、著者の報酬に関する懸念が浮上している。
英国とオーストラリアのPremium加入者に月15時間の無料オーディオブックリスニングを提供すると発表し、米国でも近く導入される予定である。Spotifyの元チーフエコノミストであるWill Page氏は、オーディオブックの著者への報酬体系に疑問を呈している。音楽業界向けには、曲が30秒間中断なく再生されるとロイヤルティが支払われるが、オーディオブックには明確な報酬のしきい値が存在していない(Good e-Reader) -
米ネットメディア「insider」は、イーロン・マスク氏がXの欧州での提供停止を検討していると報じた。これはEUが施行した「デジタルサービス法(DSA)」に対する対抗策とされる。しかし、マスク氏はこの報道を否定したが、EUはXの偽情報対策に関する調査を開始すると発表している(朝日新聞デジタル)
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イーロン・マスク氏は、Xの月額サービス「X Premium」に2種の新料金プランを追加すると発表した。新プランの1つは低価格で全機能が利用できるが、広告は減少しない。もう1つは高価格で広告が表示されない。また、新規ユーザーに年間1ドルを課す「Not A Bot」プログラムのテストも実施中で、このプランでは基本的な機能が利用できる(ねとらぼ)
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2023年6月、全米広告主協会(ANA)が「プログラマティックメディアのサプライチェーンの透明性に関する調査」を発表し、MFA(made-for-advertising)サイトが注目された。MFAとは、広告収益を目的として作成されたウェブサイトやコンテンツで、高いトラフィックを引き付けることを目的として最適化されており、広告表示のためのスペースが多く取られている。ANAはMFAの定義を公表し、特定の特徴を持つサイトをMFAとみなす基準を設けた。
日本でもそういったサイトが以前から目立つようになっており、対策が進むことを望む(DIGIDAY[日本版])
その他のニュース
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
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日本出版販売(日販)は2025年2月までにコンビニへの雑誌配送を終了する予定で、大部分はトーハンが引き継ぐことが明らかになった。しかし、引き継ぎは難航しており、日販の配送終了後、トーハンが配送を開始するまでの数カ月の空白期間が生じる可能性がある模様(文化通信デジタル)
その他のニュース
# 編集後記
出版ニュースで書いてる、日販のコンビニへの雑誌配送終了は大きなインパクトがあると思います。
当然、コンビニの雑誌棚の縮小が以前から始まっており、雑誌自体も部数をどんどん減らしている。そうした中で、うまくデジタルにシフトできてない雑誌も多い。
先日、会社の人と話をしていたが、雑誌によってはもう雑誌ではなくブランドとして考え、雑誌を紙やWebで発行していく考え方から拡張して、事業をやっているところもあるという話を聞きました。
ただ、その拡張の過程で、OEM提供など利幅がすくないものに乗っかって、見かけ上事業を広げるという動きは危険だなとも感じます。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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