SmartNews、AI要約で新収益モデル構築 Publidia #219
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SmartNews、AI要約で新収益モデル構築
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SEO情報とGoogle Discoverの情報不足
SmartNews、AI要約で新収益モデル構築
スマートニュースが7月24日に提供開始した「スマニューAIまとめ」は、国内ニュースアプリ初となる機能で、生成AIを活用して複数メディアの記事を個別に要約し、一つのコンテンツとして再構成する革新的なアプローチを採用している。
記者会見でヴァイス・プレジデント 日本リージョン メディアビジネス担当の洪錫永(ホン・ランドン)氏は、この機能の独自性について「すべての要約にリンクを貼っているので、ページ内で発生した広告収益を、出典元の複数メディアへ還元するところが、(これまでと)いちばん大きな違い」と強調した。従来のニュースアプリが一つのトピックに対して1記事のみを掲載していたのに対し、複数の記事を同時に掲載することで、より多くのメディアに収益機会を提供する仕組みを構築している。
技術的な特徴として、記事冒頭で「何が起きたか(出来事)」「なぜ起きたか(背景)」「これからどうなるか(展望)」の3つのポイントを構造化して提示することで、ユーザーの理解を促進している。各記事要約には出典メディア名を明示し、元記事への直接リンクを設置することで、興味を持ったユーザーがワンタップで詳細情報にアクセスできる導線を確保した。
読売新聞、産経ニュース、時事通信社、日刊スポーツ、東洋経済オンラインなど、現在53メディアが提携しており、各社の記事が個別のブロックとして構成されるため、メディアごとの論調や特色が保持される設計となっている。
メディアビジネスにおいて最も重要な信頼性について、同社は明確な方針を示している。提携メディアの記事は「要約の生成と編成のためにのみ使用し、生成AIの学習データには使用しない」とし、権利者から利用許諾を得た記事のみを対象とすることで、著作権侵害のリスクを回避している。
また、偽情報や誤情報の拡散が社会課題となる中、信頼できる情報源からの情報を整理して提供することで、プラットフォームとしての責任を果たす姿勢を明確にした。
今後も「スマニューAI」として総称される新たなAI活用機能を順次展開する予定で、新キャラクター「マーキュリーさん」がユーザー体験をナビゲートする。情報過多の時代において、質の高い情報を効率的に提供する仕組みとして、メディア業界全体への波及効果が期待される取り組みといえるだろう。
プラットフォーム戦略の進化とメディアとの関係
SmartNewsは2023年末からサブスクリプションサービス「SmartNews+」を開始するなど、ユーザーとの直接的な関係構築を強化している。今回の「スマニューAIまとめ」も、メディアへの収益分配を実現する一方で、ユーザーとの接点をプラットフォーム側が管理する構造となっている。
上場を控えた企業として収益性の向上が重要課題となる中、同社はコンテンツの質と収益バランスの最適化に取り組んでいると考えられる。メディア各社との協業を深める方針を示しているが、過去にYahoo!ニュースで見られたようなプラットフォームとメディア間の関係性の変化についても、業界関係者は注視している状況だ。
ただし、SmartNewsの場合は収益還元の透明性や、各メディアの特色を保持する設計など、パートナーシップを重視した姿勢を明確にしており、協業による価値創出を目指すアプローチが特徴的だ。情報過多の時代において、質の高い情報を効率的に提供する仕組みとして、メディア業界全体への波及効果が期待される取り組みといえるだろう。
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