SmartNews、AI要約で新収益モデル構築 Publidia #219

今回はSmartNews、AI要約で新収益モデル構築、SEO情報とGoogle Discoverの情報不足について書いています。
アヨハタ 2025.08.03
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 # 📍 ピックアップ

今回は以下の内容をピックアップして紹介しています。

  • SmartNews、AI要約で新収益モデル構築

  • SEO情報とGoogle Discoverの情報不足

SmartNews、AI要約で新収益モデル構築

スマートニュースが7月24日に提供開始した「スマニューAIまとめ」は、国内ニュースアプリ初となる機能で、生成AIを活用して複数メディアの記事を個別に要約し、一つのコンテンツとして再構成する革新的なアプローチを採用している。

記者会見でヴァイス・プレジデント 日本リージョン メディアビジネス担当の洪錫永(ホン・ランドン)氏は、この機能の独自性について「すべての要約にリンクを貼っているので、ページ内で発生した広告収益を、出典元の複数メディアへ還元するところが、(これまでと)いちばん大きな違い」と強調した。従来のニュースアプリが一つのトピックに対して1記事のみを掲載していたのに対し、複数の記事を同時に掲載することで、より多くのメディアに収益機会を提供する仕組みを構築している。

技術的な特徴として、記事冒頭で「何が起きたか(出来事)」「なぜ起きたか(背景)」「これからどうなるか(展望)」の3つのポイントを構造化して提示することで、ユーザーの理解を促進している。各記事要約には出典メディア名を明示し、元記事への直接リンクを設置することで、興味を持ったユーザーがワンタップで詳細情報にアクセスできる導線を確保した。

読売新聞、産経ニュース、時事通信社、日刊スポーツ、東洋経済オンラインなど、現在53メディアが提携しており、各社の記事が個別のブロックとして構成されるため、メディアごとの論調や特色が保持される設計となっている。

メディアビジネスにおいて最も重要な信頼性について、同社は明確な方針を示している。提携メディアの記事は「要約の生成と編成のためにのみ使用し、生成AIの学習データには使用しない」とし、権利者から利用許諾を得た記事のみを対象とすることで、著作権侵害のリスクを回避している。

また、偽情報や誤情報の拡散が社会課題となる中、信頼できる情報源からの情報を整理して提供することで、プラットフォームとしての責任を果たす姿勢を明確にした。

今後も「スマニューAI」として総称される新たなAI活用機能を順次展開する予定で、新キャラクター「マーキュリーさん」がユーザー体験をナビゲートする。情報過多の時代において、質の高い情報を効率的に提供する仕組みとして、メディア業界全体への波及効果が期待される取り組みといえるだろう。

プラットフォーム戦略の進化とメディアとの関係

SmartNewsは2023年末からサブスクリプションサービス「SmartNews+」を開始するなど、ユーザーとの直接的な関係構築を強化している。今回の「スマニューAIまとめ」も、メディアへの収益分配を実現する一方で、ユーザーとの接点をプラットフォーム側が管理する構造となっている。

上場を控えた企業として収益性の向上が重要課題となる中、同社はコンテンツの質と収益バランスの最適化に取り組んでいると考えられる。メディア各社との協業を深める方針を示しているが、過去にYahoo!ニュースで見られたようなプラットフォームとメディア間の関係性の変化についても、業界関係者は注視している状況だ。

ただし、SmartNewsの場合は収益還元の透明性や、各メディアの特色を保持する設計など、パートナーシップを重視した姿勢を明確にしており、協業による価値創出を目指すアプローチが特徴的だ。情報過多の時代において、質の高い情報を効率的に提供する仕組みとして、メディア業界全体への波及効果が期待される取り組みといえるだろう。

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 # 🗾 国内ニュース

  • Google出資のグロース上場企業も注視、メディア企業の利用進むAI編集支援サービス(ダイヤモンド・オンライン)

  • オールインワンAI編集アシスタント「StoryHub」、広告費ゼロ・社員7名でARR 1億円を突破(StoryHub)

  • Hakuhodo DY ONEの「WISE Ads」、日本テレビと連携しテレビCMのプログラマティック取引を開始(RTB SQUARE)

  • ジョルダン株式会社と、定期刊行物課金のネット販売プラットフォーム「J-STAND」の説明会を開催しました(株式会社ジェイ・キャスト)

  • 「本とPodcastは似ている」? 第一人者が語る“音声×出版”から生まれる新たなビジネスの手法とは(飯田一史- エキスパート - Yahoo!ニュース)

  • 世界中で物議のクレカ表現規制にマンガ家も懸念、Steamの一件で急浮上した団体とは?:サダタローのゆるっとマンガ劇場(ITmedia NEWS)

  • GMV増加でnoteの営業利益が2倍に拡大、ココナラの株式取得で新たな展開にも期待【メディア企業徹底考察 #274】(Media Innovation)

  • Google コアアップデート×AI Overviews パブリッシャーに打撃も、影響の原因は特定困難に(DIGIDAY[日本版])

  • KADOKAWAの7月放送・配信アニメ4タイトルの「二次利用ガイドライン」公開、切り抜き動画等の公開が可能に(KADOKAWA)

  • AI検索ボットの記事「搾取」横行 メディア企業、対策急務に(日本経済新聞)

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# 🌏 海外ニュース

  • AIがウェブを消滅させる? サイトの閲覧数が減り、コンテンツが干上がる(日経ビジネス電子版)

  • Google のAI Overviewsが急速にユーザーを増やす ゼロクリックの世界到来で重要になるのは順位ではなく……(DIGIDAY[日本版])

  • Google AI Modeがイギリスで利用可能になりました。(Press Gazette)

  • GoogleのAI要約に表示されるリンクをクリックする人はいますか?(Pew Research Center)

  • Googleは、新しいAIによるキュレーション機能を搭載した『Web Guide』で検索結果の見方を再考しています(The Verge)

  • Blueskyはスポーツニュースをプッシュ通知の配信開始に選択しました(Nieman Journalism Lab)

  • Mediumが最終的に利益を出すための転換を遂げた経緯(Simon Owens's Media Newsletter)

  • ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、再びワーナー・ブラザースとディスカバリーに分社化されます(The Verge)

  • ビジネス誌Fortune、全従業員の10%をレイオフへ AIによるWEBトラフィックの減少などで(RTB SQUARE)

  • Daily Mail、大規模なブランド刷新に伴いデジタル購読者数100万人の目標を設定(Press Gazette)

  • Amazon、AI利用でNYタイムズに年37億円支払い 米報道(日本経済新聞)

  • MetaのAIが広告効果を向上させ、売上高を$466億ドルに押し上げた(Adweek)

  • TikTokが広告主向けにアプリ外でのユーザー追跡を可能にする新ツールをリリース(Adweek)

  • 米CNETで人員削減が実施(The Verge)

  • パブリッシャーは、2019年以降、検索エンジンでの表示率が最大80%減少しています(Press Gazette)

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# 📕 出版関連ニュース

  • 伝説の少年ジャンプ元編集長 「膨大な無駄の末に砂金が残る」(日本経済新聞)

  • 丸善の専門書検索が好調 利用データで出版社の商品開発まで支援(日経クロストレンド)

  • 激動の時代に本を届けるために、出版業界はどう手を取り合うべきか?──『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』著者・飯田一史(サイボウズ式)

  • 堅調なオーストラリアの出版業界だが、中小出版社は悲鳴をあげている(飯田 一史)(現代ビジネス

  • 小学館の文芸誌が破格のヒット、原点に成功体験 異業種も小説に参入(朝日新聞)

  • Bookshop.org Reports 65% Growth, E-books Add $1 Million in Sales(Publishers Weekly)

  • 文化通信社セミナー2025 トーハン 代表取締役社長・川上氏「出版流通をどう維持するのか トーハンが見据える未来を聞く」(The Bunka News デジタル)

  • 漫画翻訳のオレンジ、融資で25億円調達 北米向けアプリ拡充(日本経済新聞)

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 # 💬 コラム

SEO情報とGoogle Discoverの情報不足

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