Discoverもゼロクリックの対象へ Publidia #217

今回はDiscoverもゼロクリックの対象へ、ストリーミング戦争はYouTube対Netflixの“二強時代”へについて書いています。
アヨハタ 2025.07.21
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 # 📍 ピックアップ

今回は以下の内容をピックアップして紹介しています。

  • Discoverもゼロクリックの対象へ

  • ストリーミング戦争はYouTube対Netflixの“二強時代”へ

Discoverもゼロクリックの対象へ

Googleは、ニュースフィード「Discover」において、AIによる記事要約機能の本格展開を開始した。iOSおよびAndroidのGoogleアプリ上で、米国ユーザーを対象にリリースされている。
この新機能は、従来のように単一のニュース媒体からの見出しやロゴを表示するのではなく、複数媒体から集めた記事をAIで自動的にまとめて表示する仕組みである。

Damien (andell)
@AndellDam
Google Discover + Gemini AI

In Google Discover, we find "Trending" cards with an AI Overview, several sources, a news summary, and a main article.

Clicking on the site icons takes us to a new "More" page with a Discover feed for these sites, on which the AI ​​summary is based.
2025/06/16 18:40
3Retweet 6Likes

Discoverの新しいカード上部に、複数のニュース媒体のロゴとともにAI要約が表示されている。
カード左上の重なり合ったアイコンをタップすると、参照元となった記事リストが表示され、さらに「See more(さらに表示)」をタップすることで要約全文を読むことが可能である。
なお、要約下には「AIが生成しているため誤りがある可能性がある」と明記され、ユーザーへの注意喚起も徹底されている。

Googleの広報担当者はTechCrunchの取材に対し、「これはテストではなく正式な米国ローンチ」と明言。主にスポーツやエンタメなど、トレンド性の高いライフスタイル領域の話題が中心になると説明している。

GoogleによるAI要約機能の導入は、すでに検索トラフィックの減少に悩むパブリッシャーにとって新たな打撃となりそうだ。
AI Overviews(AIによる概要)AI Modeなど、Googleがここ数年相次いで導入したAI機能により、検索ユーザーが元記事へアクセスする必要が減少する。これにより、多くのニュースサイトがアクセス数・広告収入の激減に直面している。

市場調査会社Similarwebのデータによれば、2024年5月のAI Overviews導入以降、「クリックの発生しないニュース検索(ゼロクリック)」の割合は56%から2025年5月には69%近くまで増加している。
オーガニックなニュースサイトへの訪問も、2024年中頃の23億回超から17億回未満まで減少したと報告されている。

これまでDiscoverはGoogle Searchに比べてトラフィック源として機能していたが、今回のAI要約機能の本格導入により、今後はDiscover経由の流入も減少する可能性が高まっている。

米国で先行してスタートしているAI Modeも、このDiscoverでのAI要約も日本に上陸する可能性は高いと考える。
自社メディアのトラフィック獲得に関して、Discoverへの依存が高いメディアも多いと思われる。AI要約がまったく影響がないことはないと考えるのが正しいと思われる。
結局、読者と繋がるための仕組みが必要と考えられる。当然ながら読者にとって価値があるものを提供できているという前提ではあるが。

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 # 🗾 国内ニュース

  • 朝日新聞アプリで『朝日新聞ポッドキャスト』が楽しめます(朝日新聞)

  • 読売新聞、ABC朝刊部数で550万部を下回る(RTB SQUARE)

  • 短文SNS「Threads」2周年、Instagramと別路線を歩む新たなプラットフォームに(ケータイ Watch)

  • メディアドゥとSHIFT、日本コンテンツの中東展開で協業 SHIFTはクレディセゾンよりメディアドゥ株46万6600株を取得へ(ゲームビズ)

  • 一部の広告ブロッカーでは、問題のある広告がより多く表示されてしまうとの調査結果【やじうまWatch】(INTERNET Watch)

  • Taboola、生成AI検索エンジン「DeeperDive」発表 サイト内コンテンツを活用し体験向上(MarkeZine)

  • Roblox、個人の二次創作ゲームに公式ライセンス セガや講談社と協業、「龍が如く」「ブルーロック」など(ITmedia NEWS)

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# 🌏 海外ニュース

  • ヤッカリーノ 氏退任で見えた広告主の冷めた評価 「Xはいまだ一流ではない」(DIGIDAY[日本版])

  • Condé Nastオーディエンス・ファネルの「ハッピー・ミドル」を拡大する(The Audiencers)

  • MediumのCEOが、月間$2.6Mの損失を止めるために何をしたか(TechCrunch)

  • Amazon、AIアシスタント「ルーファス」に編集コンテンツ導入 コンデナストらと契約(DIGIDAY[日本版])

  • 創刊150年の名門紙「ダラス・モーニング・ニュース」をハーストが買収、背景にある厳しい現実(Media Innovation)

  • IAB Tech Labは、パブリッシャーがLLMスクレイピングの制御を強化するための計画を提案しました(Digiday)

  • IABの2025年動画広告支出と戦略に関する詳細報告書によると、広告主の約90%が動画広告の制作にジェネレーティブAIを活用する見込みです(IAB)

  • Apple News+に、絵文字とGenmoji(カスタム絵文字)を使用してパズルを解く新しいゲームが追加(TechCrunch)

  • アドテクの次は生成AI  Google の独禁法リスクでパブリッシャーが規制要請(DIGIDAY[日本版])

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# 📕 出版関連ニュース

  • 芥川賞・直木賞ともに「該当作なし」 27年半ぶり6回目(毎日新聞デジタル)

  • 【最新米メディア報告】盗作、バッシング、AI… 一世風靡したBookTokの闇(大原ケイ)(The Bunka News デジタル)

  • 雑貨店のヴィレッジヴァンガード、81店を閉店へ 2期連続最終赤字(日本経済新聞)

  • トゥーヴァージンズグループ 秀和システム事業譲受を正式発表 社名は「秀和システム新社」に(The Bunka News デジタル)

  • 『ヤンマガ USA』発行へ:青年マンガで米国市場に挑戦-人気上位は日英連載化(nippon.com)

  • ライトノベルシェアNo.1のKADOKAWA、エンタメ小説&カルチャーメディア「メクリメクル」を創刊(KADOKAWAオフィシャルサイト)

  • ハーパースコリンズ、フランスとドイツのクランチロール マンガ出版事業の買収によりマンガ事業拡大へ(HarperCollins)

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 # 📍 ピックアップ

ストリーミング戦争はYouTube対Netflixの“二強時代”へ

ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によれば、YouTubeとNetflixは異なる戦略を持ちながらも、ユーザーの「テレビ画面」をめぐり激しい主導権争いを繰り広げている。

2025年5月の米国におけるテレビ視聴時間の合計20%がYouTube(12.5%)とNetflix(7.5%)で占められ、かつて僅差だったシェアはYouTube優位へと拡大している。

Netflixは自社制作の“クローズド型”モデル、YouTubeは誰でも投稿できる“オープン型”という違いを持つが、YouTube出身クリエイターをNetflixが取り込む動きも顕著になっている。

今や両社のトップも互いを意識し、NYTは「視聴者主義」時代の新たな覇権争いが本格化したと伝えている。

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# 編集後記

Switch2買えました。

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老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにて広告関連の担当や子会社事業のメディア担当ディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスに関わっていました。

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