GoogleのAI導入でパブリッシャーの流入激減と業界団体が警鐘 Publidia #222
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国の余剰金で税収減を補填し、さらに公共や学校図書館への投資を進め、若者の読解力向上と読書習慣の回復を目指す。(AFPBB News)
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今回は以下の内容をピックアップして紹介しています。
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GoogleのAI導入でパブリッシャーの流入激減と業界団体が警鐘
GoogleのAI導入でパブリッシャーの流入激減と業界団体が警鐘
米国のパブリッシャー団体 Digital Content Next(DCN) は、Googleが検索サービスに導入したAI機能「AI Overviews」や「AI Mode」が、パブリッシャーに深刻な影響を与えていると警告している。最新の調査データによると、DCN加盟の主要パブリッシャー19社における Google検索からの紹介トラフィックは前年同期比で平均10%減少。特にニュース以外のエンターテインメント系ブランドでは14%の減少となり、一部の週には16〜17%の急落も確認された。
この変化の背景にあるのが、Googleが2024年に米国で導入したAI概要表示機能「AI Overviews」である。検索結果の最上部にAIによる要約が掲載されることで、ユーザーは記事にアクセスせずとも回答を得られるようになった。さらに2025年には、チャット形式で応答する「AI Mode」も追加された。
DCNのジェイソン・キントCEOは「これらはランダムな変動ではなく、持続的な損失だ。Googleはパブリッシャーのコンテンツを学習に利用しながら、自らの要約で置き換えている」と批判している。
特に問題視されているのは、出版ビジネスの収益構造だ。
DCN会員の デジタル収益の78%は広告収入に依存しており、検索流入の減少は広告在庫の減少に直結する。
結果として、調査報道や国際ニュース、高品質なエンターテインメント制作を支える予算が圧迫される恐れがある。キント氏は「検索流入が1ポイント失われるごとに、ジャーナリズムやエンタメ制作の資金が削られていく」と危機感を示す。
DCNは解決策として、いくつかの要求をGoogleに突きつけている。
第一に、AI Overviewsがどのような検索クエリやカテゴリで表示され、どの程度クリックが発生しているのかについて、監査可能なデータの公開を求めている。
第二に、パブリッシャーがAIの回答にコンテンツを利用されるかどうかを選択できる 「オプトアウト権」の付与である。現状ではAIから除外されると検索結果全体での可視性も失うため、実質的に選択の余地がない。
第三に、GoogleがOpenAIやAmazon、Perplexityのようにパブリッシャーと正式な ライセンス契約を結び、コンテンツ利用に対する対価を支払うことを求めている。
こうした動きは米国だけではない。英国のパブリッシャー団体PPAも同様の懸念を表明し、競争当局に対しGoogleへの透明性確保やデータ公開の義務付けを要請している。
出版業界全体が「ゼロクリック検索」の拡大に直面するなかで、検索流入減少は単なるトラフィックの問題にとどまらず、メディア産業の持続可能性を左右する構造的課題となっている。
Googleは「クリックの質は高く安定している」と反論しているが、具体的な数値は公表していない。
出版各社は自社のGoogle Search Consoleデータから独自に影響を分析しており、業界とプラットフォーマーの認識には大きな隔たりがある。今後、規制当局や政策立案者がどこまで介入するかが、ジャーナリズムの未来を左右する分岐点になりそうだ。
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# 編集後記
まだ全然夏が終わらない。

老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにて広告関連の担当や子会社事業のメディア担当ディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスに関わっていました。
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