米国パブリッシャーのサブスクへの向き合い方 Publidia #136
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
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OpenAIのサムアルトマンが内紛で退任となったようですが、Xで見つけた内容が興味深くシェアします。
シバタ氏のポストが推測と前置きはされていますが、AIの安全性をとるか拡大をとるかの選択の結果のようです。個人的にはニュースソースなどが学習拒否になる中で幅広いものから学習できなくなるということに懸念はあったので、一旦ブレーキが踏まれたのだとしたら、安心できる判断だと感じました。
今日はたまたま生成AIクラスターの人たちとMTGが立て続けにあって、MTG中にニュースが流れてきて、いろいろ聞いた話を(問題ないと思われる範囲で)書いておきます。…
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# ✅ 米国パブリッシャーのサブスクへの向き合い方
Brian Morrissey氏が運営するニュースレターThe Rebootingが米国のパブリッシャー201社を対象にサブスクの現状について調査したレポートが興味深い。
広告のみに依存したパブリッシャー(たとえばViceMediaや米BuzzFeed)が苦戦する中、サブスク市場も成熟してきている。
その中で、パブリッシャーがどういった戦い方をしているか概要が書かれている。
広告と違い、規模を追い求める運営の仕方と違い、加入者増加や退会者の抑制、ARPUの上昇など性質の違ったことに注力が必要である。
パブリッシャーの悩みが垣間見えるレポートで英語だが翻訳サービスを使ってでも読んでみるのをおすすめしたい。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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ベネッセホールディングスは、経営陣参加のMBOを発表し、ヨーロッパの投資ファンドEQTと共にTOBを実施する。それにより、株式は上場廃止になる見通しである。
進研ゼミの不振に対応し、株式の非公開化で立て直しを図る。最終的にEQTが60%、創業家が40%の株を保有する計画とのこと(日本経済新聞)
スマイルゼミなどの参入や、資本参加しているUdemyの評価も株式市場では芳しくない。先日、NewsPicksを運営するユーザベース社も上場廃止にして次の成長を目指している。上場していることで、思い切った投資ができない状況が起きており、成長の踊り場にいる企業にとってこの選択を取るのが増えるかもしれない。 -
今年9月に公正取引委員会が報道機関への記事使用料に関し「十分な協議」を促す報告書を公表した。ニュースの提供を受けてる企業は契約内容の透明性を高める方針だが、使用料引き上げには慎重であるようだ。報告書では、ポータルサイト間で使用料に大きな差があり、交渉や収益への貢献反映が求められている(時事ドットコム)
結局、その記事を使ってビジネスをしている。記事使用料により赤字になるなら、そのな選択は取れない。メディアもアプリも運営維持にそれなりにコストはかかっている。
その他のニュース
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スマートニュースとドコモが業務提携契約を締結(NTTドコモ)
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(フォーラム)ニュース離れ:2 信頼感(朝日新聞デジタル)
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新たなECサービス「livedoorショッピング」、来春サービス開始へ(ミンカブ・ジ・インフォノイド)
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なぜハースト婦人画報社は初代編集長・国木田独歩に手紙を送ったのか(AdverTimes.)
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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イギリスのGuardianは、2023、2024年度に米国で3,300万ドル(約49億円)のデジタル読者収入を見込んでおり、新記録となる。
この収入は同社の米国事業の約57%を占め、広告市場の減速を補う役割を果たしている。Guardianはアメリカでのデジタル展開を10年以上前に開始し、パンデミック後に米国市場への投資を加速した(Axios) -
アメリカ人がニュースを得るために、以前よりTikTokを利用していることが、Pew Research Centerの新しいデータによって示されている。2020年以降、TikTokを通じてニュースを消費するユーザーの割合はほぼ倍増している。30歳未満の成人のうち約三分の一が定期的にTikTokでニュースを閲覧している(Axios)
その他のニュース
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FacebookとInstagramのアプリ内ショッピング機能でMetaとAmazonが提携(TechCrunch)
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2023のPodcastファン(Spotify)
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Vice Media Groupが再びレイオフを実施(Deadline)(Media Innovation )
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Amazon、好調ネット通販にTikTokの影 ジェフ・ベゾス流にメス(日本経済新聞)
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広告市場低迷でメディアのレイオフが続く(Axios)
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Insider、名前をBusiness Insiderに戻す(BUSINESS INSIDER)
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法律改正により米国のGoogle、Metaはニュースパブリッシャーへ年間140億ドル(約2兆円)支払う必要がある可能性。調査会社が試算だが、Googleは反論(Press Gazette)
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米巨大ITのニュース離れ 依存脱却へ模索するメディア NYTの記事から(朝日新聞デジタル)
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独立したら年収10倍 個人メディア、SNSの次はメール(日本経済新聞)
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
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Amazonは、Kindle Direct Publishing(KDP)のコミュニティフォーラムで、著者が電子書籍のオーディオブック版を簡単かつ迅速に作成できる新技術のベータテストを開始したことを発表した。
このテストでは、KDPの著者が仮想音声ナレーションを通じて電子書籍のオーディオブック版を作成できる。これによりKDP著者によるオーディオブックの制作を促進することが期待される(Good e-Reader) -
朝日新聞出版が科学雑誌「Newton」を発行するニュートンプレスの全株式を取得し、同社をグループ傘下に収めた。Newtonは1981年創刊、発行部数は約8万1000部。
朝日新聞出版は、新たな事業の柱として買収を行なった目論見をNewsPicksでインタビューで語っている(NewsPicks)
その他のニュース
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「本を読まない層が読みたくなる」、独立系書店の仕掛け人が考えた驚きの工夫 連載「だれが本を生かすのか」第3回 内沼晋太郎の奮闘【前編】(JBpress)
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「いまの漫画は下手」 『DRAGON BALL』元編集者が語る漫画の描き方とビジネス(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
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【日販、CVS配送から撤退】奥村景二日販社長に聞く 混乱ないよう引継ぎまで物流請け負う ブックセラーズ&カンパニーで新たな取次モデル(文化通信デジタル)
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Indigo Books and Music should try and sell the company(Good e-Reader)
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流通拠点で書籍製造へ トーハン、DNPと協議(日本経済新聞)
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レンタル撤退の新潟・トップカルチャー、新たな「蔦屋書店」を模索(日本経済新聞)
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マンガ投稿プラットフォーム「マンガノ」にて、出版社や編集部の垣根を越えて10社10編集部が参加する前代未聞のマンガ賞創設。講談社、小学館、集英社など参加編集部が一斉審査&各誌からスカウトされるチャンス(集英社)
# 編集後記
先日、阿佐ヶ谷に行く用事があり閉店のお知らせが出ている書楽に行きました。NHKでも記事になっていますが、黒字だがピーク時の半分という状況で長期的な見通しが立たないということが閉店の理由のようです。
実は、10年ほど阿佐ヶ谷に住んでいたので書楽はよく足を運んでいたので心情的には寂しい気持ちですが、商売上は持ち直すのが難しいということを考えると仕方ないと感じました。素晴らしい本屋だったのに残念という気持ちです。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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