広告だらけのMFAサイトとは、対処の難しさ Publidia #149
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# 広告だらけのMFAサイトとは、対処の難しさ
日経新聞で「広告だらけの低品質サイトに100億円超流入 資生堂は監視強化」という記事が出て話題になっている。
アドフラウど対策ツールなどを手がけるスパイダーズラボの調べによると、国内で100億円以上の広告費が低品質の「Made For Advertising」(MFA)サイトに流れ、広告主の予算が無駄にされていると記事では書かれている。
MFAサイトとは、たまにネットサーフィンで訪れたことがあるといった方は少なくないかもしれません。MFAサイトは、一般的には低品質なコンテンツで広告が多いサイトと言われているが、以下のような定義がある。
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コンテンツに対して広告の比率が高い。デスクトップにおいて比率が30%以上
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広告の配置など自動更新されている
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有料でのトラフィック調達が多く、レコメンドウイジェットなどから獲得している
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独自性がなく、流用されているコンテンツが中心である
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デザインが不十分なテンプレート化されたサイトである
MFAサイトは、レコメンドウィジェットからの流入を得ているという定義がある。
レコメンドウィジェットは大手サイトではほとんど採用されている。
ある上場企業のレコメンドウイジェットで、関係ないサイトや広告はぼかしを入れています
上記画像は、ある上場企業が運営するネット系メディアのレコメンドウィジェットのキャプチャである。
平然と普通のメディアに、MFAサイトへの誘導が存在する。
これらのMFAサイトのやっかいなところは、不正行為というわけではないため扱いがとても難しい。しかし広告主からすると、画面の30%以上が広告で占められたサイトに広告が表示されると、広告費は無駄になってしまう、当然ユーザはクリックしないから効果がないからだ。
MFAサイトについては、2023年7月に公開されているDIGIDAYの記事がとてもわかりやすいでのおすすめしている。
しかし、このレコメンドウイジェットのMFAサイトだが、最新の情報ではないという前提だが、人力で排除をしているという話を聞いた。
レコメンドウイジェットを採用しているサイトの中には、読売新聞など大手の新聞サイトも存在する。新聞社のレコメンドウイジェットを見ると、そうしたMFAサイトへの誘導はなかったが、もし人力で排除しているとしたら不毛なことだと感じる。
また、先ほど言及した上場企業が運営するネットカルチャーなどを中心に伝えるメディアや、その他いくつか雑誌系のメディアでもMFAサイトへの誘導が見受けられた。
このAIが浸透していく時代の中で、MFAサイトの排除もAIの活用ができないものなのかと感じる。
# サンマーク出版の新メディアはnote proを採用
Sunmark Web
ビジネス書や実用書などを手掛けるサンマーク出版の新メディア「Sunmark Web」がオープンした。
編集長は東洋経済オンラインの元編集長 武政氏である。
サイトのコンセプトは、人生(Life)、仕事(Business)、心と体(Heart&Body)など8ジャンル(マガジン)をテーマとして、記事を毎日配信するようである。
人生(Life)、仕事(Business)、心と体(Heart&Body)など8ジャンル(マガジン)をテーマとして、記事を毎日配信していきます。社内外関係者の皆さま、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
sunmarkweb.com Sunmark Web サンマーク出版が運営する「人を照らすメディア」。人々をあたたかい光でぽっと照らすような、陽気なメディアに育てていきます。 sunmarkweb.com
出版社の多くは、業界標準のCMSを使いYahoo!ニュースにも記事を配信してのPVモデルが多いが、このSunmarkWebはnote社のnote proを採用している。
note proは、通常のnoteと違い独自ドメインやロゴやテーマから変更ができ、noteトップのレコメンド枠の表示可能性が2倍になることも強みである。
noteというサービスが成長している中で、note proを使う意味は多いにあると考えられる。
note pro自体は企業のオウンドメディア利用が多く、企業活動を発信している使い方が多い印象だ。
メディアを運営するプラットフォームとして利用する例は、珍しいと感じる。(オウンドメディアもメディアだろうというツッコミはあると思うが)
しかし、マネタイズだ。
どうやってマネタイズしていくのかは気になるところである。
広告枠を置いてマネタイズをしていくという方法はnoteではできない。おそらく、その方法はnote社もしばらくは提供をしないと思われる。
おそらく、記事やコミュニティの課金、書籍の購入に繋げるなどでマネタイズをしていくと考えられる。
また、記事の最後に書籍の試し読みへ誘導している。
その誘導先は、サンマーク出版のLINEと連携した試し読み機能となっており、ユーザと直接つながるなど仕掛けもしており、全体的にコミュニケーション戦略は考えられていると感じる。
今後の動きに注目していきたい。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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2023年中で課金額が多いアプリランキングについて日経の記事で紹介されている。
世界的には、TikTokが首位、日本では漫画アプリピッコマがトップになっている。
投げ銭機能が収益を支えているようだ。YouTubeもサブスクリプションサービスの拡大によりランクが上がっている。
米国は非ゲームアプリの台頭が目立つが、日本と中国ではゲームアプリが依然として強い(日本経済新聞)
その他のニュース
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株式会社Minto、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズより資金調達を実施(株式会社Minto)
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タイパ志向のプレミアムビジネスニュース「SmartNews+」、学生向けに「学割プラン」を提供開始 月額500円(通常プラン1,480円)で購読可能に(スマートニュース株式会社)
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TBSラジオ、23年4月~12月期は営業利益88.3%減(Musicman)
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日本ABC協会 新聞発行社レポート 2023年下半期(7~12月)平均部数 全国紙、地方紙の部数減続く(The Bunka News デジタル)
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Web指標一覧 (2023年7-9月期)を公開しました(一般社団法人 日本ABC協会)
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世の中って全部つながっている――「ニュース離れ」が進行する現代と向き合うには 武蔵大・奥村信幸教授に聞く(newsHack)
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メディア接触の新潮流...「ニュース回避傾向」が強い層の特徴とは?(ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)
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今のニュースメディアに欠けている機能とは何か 「情報を提供するだけ」では未来はない(東洋経済オンライン)
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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2024年1月にTikTokは約60人のスタッフを削減を行なった。人気アプリでも安泰ではない。TikTokは広告運用の合理化、アルゴリズムの効果低下など複数の課題に直面している(DIGIDAY[日本版])
その他のニュース
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YouTubeの未来:トップユーチューバーがアカデミー賞を獲得する日 (Simon Owens's Media Newsletter)
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ディズニー、Epic Gamesへ15億ドルを投資(電ファミニコゲーマー)
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FT、Economist、Condé Nastなどによる専門メディア収益化のヒント(MediaMakersMeet)
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Semaforの「Signals」(Microsoftサポート)AIフィードは、自社のジャーナリストによって構築された(Press Gazette)
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Pinterest、5億MAUに迫る。Googleとの新たな広告契約を発表(TechCrunch)
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Atlanticにグループ購読を導入した経緯(The Audiencers)
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裁判所はOpenAIに対する著者の訴えを棄却(Good e-Reader)
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Spotifyは音楽業界に年間1.3兆円支払う、TikTokの約22倍(Forbes JAPAN)
# 📕 出版に関するニュース
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2024年3月期第3四半期決算を公表(株式会社KADOKAWA)
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続・ライトノベル市場とはなにか? 規模はどうなっているのか?(HON.jp News Blog)
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KADOKAWAが欧州でラノベのビジネス展開へ 世界のアニメ人気が追い風になるか(河村鳴紘 エキスパート - Yahoo!ニュース)
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富士山MS、出版社向け「メディアを活用したロイヤルティプログラム」のページを公開(新文化オンライン)
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海外出版事情:日本発『嫌われる勇気』のオーディオ版がアメリカでヒットした理由 冷泉彰彦(週刊エコノミスト Online)
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東南ア漫画開拓、あえて「紙」 通販限定で付録(日本経済新聞)
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スターツ出版【7849】、今期経常は6%増で4期連続最高益、前期配当を27.5円増額・今期も60円継続へ | 決算速報(株探ニュース)
# 編集後記
OpenAIのSoraがすごいことになっていた。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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