ChatGPTが話題になり1年 Publidia #138
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
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先週金曜日に、インパクトが大きいニュースがやってきました。
2010年にスタートしたhontoですが、本の通販は24年3月末をもって終了するようです(電子書籍は継続)本の通販はトーハンのe-honに誘導し、グループでは丸善ジュンク堂のオンラインサイト立ち上げも行うようですが、いずれにしてもインパクトが大きいです。
個人的な話になりますが、以前働いていたブクログではhontoとはビジネス上もお付き合いがあったので、寂しい気持ちもあります。
hontoを運営するトゥ・ディファクトは昨年の記事では4期連続黒字と、しっかりとした経営をしていたようです。
色々と探っていくと、そもそも書籍の通販自体が構造上利幅が薄いため、昨今の人件費や運賃の上昇などから終了の判断になった思われます。
2024年問題の影響が今後いろいろと出てきそうです。
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# ChatGPTが話題になり1年
2022年11月末にChatGPT3.5がリリースされ、一気に生成AIの利用が個人や商業的に進んでいる。
FIPP(国際雑誌連合)の会員向けに、生成AIがメディアをどのように変えたかというテーマでレポートを出している。
会員社でないとレポートを読めないが、どういった切り口で書かれているか記事を読むと見えてくる。
ChatGPTが徐々にメディアの現場で活用されつつある。
FIPPのレポートは英語で書かれており、会員社か個人会員しか読めないため、SmartNews出身で文春オンラインのダッシュボードを構築したことでも有名な田島氏による、メディアにおいての生成AI活用法についてまとめたnoteを紹介したい。
このnoteでは、生成AI活用に関する指針が書かれており納得できる内容だった。
生成AI活用に関して、関わってる仕事でいくつか相談を受けたことがあり、どこも良い活用の仕方について迷っている状況のようだ。
ワークフローにどう取り込むかという視点で取り合うべきだと感じており、断片的な使い方、薄いコンテンツを量産するために使うという小手先は避けるべきだと感じる。
また、他にも生成AIによるビジネス上の影響について書かれたnoteも重要なことが書かれている。
生成AIにより、徐々にいろんな状況が変化していき、後から振り返ると大きな影響が出ていたということになると思う。
目の前のことだけ取り組んでいても、もう立ちゆくなることが遠くない未来に来ていると考えている。
当面をこなしていくことと、5年10年先の未来のプランを考える必要がどのビジネスにおいても出ている。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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LINEヤフーは、サーバーが攻撃され、約44万件の利用者情報が流出した可能性があると発表した。韓国ネット大手ネイバー経由で漏洩したようで、過去にも情報管理の問題が発生していた。総務省は詳細な報告を求めている(日本経済新聞)
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SEO業界では著名な辻氏によるドメインを永久に保持できないときに注意すべきこととして、ブログがあがっている。"ペットとドメインは、かったら最後まで面倒を見る"という表現が秀逸である。
取る必然性を感じないのに、なぜか担当者がドメインを新規で取りたい、と言い出された時にこのエントリーを見せるのが良いと感じる。更新せずに、アダルトサイトやカジノサイトなどに変貌した事例も載ってるので参考にしていただきたい(web > SEO)
その他のニュース
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日本テレビ、地上波広告のプログラマティック取引を24年末に提供開始へ(RTB SQUARE)
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Amazonデータ活用 博報堂、テレビCM効果を分析(日本経済新聞)
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サードパーティークッキー廃止へ ネット広告効果半減も(日本経済新聞)
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ストリーツ株式会社、プレシードラウンドで深津貴之氏・ローカル放送局三社から約5,000万円の資金調達。生成AIによるメディア支援とアプリによる地域の情報流通活性化を推進。(ストリーツ株式会社)
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地方紙各社、デジタル発信拡充 メルマガや電子版は地域情報に特化(宣伝会議デジタル版)
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日本の分断はどこにあるのか?〜10年かけて日本人の価値観変遷を追いかける「スマートニュース・メディア価値観全国調査」メディア向けシンポジウムを実施しました(スマートニュース株式会社)
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良質なメディアを束ねた「クオリティメディアコンソーシアム」で提供される広告価値[インタビュー](Exchangewire Japan)
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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Spotifyがポッドキャストの広告ネットワークを日本に拡大しているとMediaInnovationが伝えている。すでに、TBSラジオが取り組んでるとのこと。
Spotifyのポッドキャスト事業は好調で、ad:tech tokyo2023にて責任者によるとZ世代の再生数が前年比の約200%に達した、と語っている。
今後、ポッドキャスト広告はSpotifyもそうだが他にも事業者がおり徐々に広がっていくと思われるが、いわゆるラジオ局などによるプロコンテンツが中心になってくる可能性が高い(Media Innovation) -
イーロン・マスクは、Xにて記事をシェア時に見出しなどの表示停止をしていたが表示を復活させると発表した。先月、見出しの表示を停止していたが、今後のアップデートでURLカードの画像上部に見出しを重ねる予定とのこと。具体的な時期やカードのデザインについては明らかにされていない。
見出しが表示されなくなったことで、メディアも困っていて場合によってその対策を行なったところもあると思うが、Xの対応は本当に迷惑だと思う(TechCrunch) -
Googleとカナダ政府は、オンラインニュース法に関する紛争で合意に達し、Googleが年間約1億ドルをニュース企業に支払う代わりに、カナダ国内でGoogleはニュースを利用しつづけることになった。Metaはカナダ国内でFacebookのニュースブロックを行なった。
MetaにとってはすでにNewsは重要視していないが、Googleにとってニュースはとても重要なため支払いをして続けるという選択を行なった。ただし、個人的にはカナダ政府の過剰なニュースパブリッシャーへの保護に関しては色々と思うところはある。(CBC News) -
ワシントン・ポストは、100万ドルの損失を出している。元ダウ・ジョーンズ社長のウィリアム・ルイス新CEOの指揮下で再建を目指している。Amazon創業者のジェフ・ベゾスがワシントン・ポストを買収し、新しいCMSを開発し他紙にライセンス供与するなどの試みを行ったが、新聞業界全体の衰退により、これらの取り組みも限界に直面している(MediaMakersmeet)
その他のニュース
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Google、Spotifyへの手数料優遇を認める。ストア内で4%、独自決済では0%(TechnoEdge)
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Xの広告停止が拡大、110億円減収も 反ユダヤ的言動で(日本経済新聞)
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Latest Google updates have had major impact on news publishers(PressGazette)
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Media Briefing[日本版]: 成功するか否かに関係なく、 メディア企業 は「収益源の多様化」に取り組むしかない(DIGIDAY[日本版])
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雑誌「Popular Science」151年の歴史に幕(The Verge)
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Bloomberg Mediaは、購読者数が50万人を超えた。購読者の88%が年間プランを利用しているとのこと。今後は企業向け購読プランの拡大や購読者の維持に注力し、さらなる成長を目指すとのこと(PressGazette)
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
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KADOKAWAグループのブックウォーカー社長を経て、KADOKAWA ConnectedのCEO安本氏のインタビュー記事が面白い。
出版物に関連するDX事業を行っており、具体的な打ち手について語っている。安本氏がデジタル化や雑誌読者のファンコミュニティ化などを2016年から訴えてきたがやっと最近必要性を認識されるようになったという話に、ビジネス上の判断ができない人も多いのだと感じる。その点で、KADOKAWAはデジタル化など必要性の理解と推進できる人材が役員にいる数少ない出版社だと感じる(ZDNET Japan)
その他のニュース
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日販GHDと日販の中間決算、ともに減収赤字に(新文化オンライン)
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活字離れは本当か?出版業界の今(経済産業省 METI Journal ONLINE)
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メディアドゥ、NFTサービス「FanTop」事業説明会開催(株式会社メディアドゥ)
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日本電子出版協会 電子出版アワード2023 (第17回) 候補作品リスト(JEPA)
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MdN、イカロス出版、天夢人で希望退職募集 インプレスHD(ITmedia NEWS)
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大垣書店 新しい街「麻布台ヒルズ」に新店舗オープン 大垣守弘代表取締役「新たな発見ある書店に」(文化通信デジタル)
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ACCESS最終赤字14億円 2〜10月、電子出版事業売却(日本経済新聞)
# 編集後記
年内の最終号は24日ごろ配信、年明けは1月7日ごろ配信予定です。
24日、その日はM-1グランプリでお昼から敗者復活戦も見ないといけないので、23日に配信するかもしれません。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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