DiscoverがPC向けにも拡大 Publidia #132

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ayohata 2023.10.22
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# 💻 DiscoverがPC向けにも拡大

Googleは、DiscoverをデスクトップのChromeにも追加する実験をインドで行なっている。
現時点ではモバイル向けに、大量のトラフィックを送ってくれることでお馴染みのDiscoverだが、デスクトップにも拡大するようである。

SEOコンサルタントのGlenn Gabeのポストではテストの見た目も共有されている。

現在、X(Twitter)の変更によりトラフィックが下がる中で、期待したい変更である。

# 💰 X有料化の足がかり

10月17日から、Xはニュージーランドとフィリピンの2カ国で年間料金1ドルのサブスクサービスを開始した。支払わない場合は、ポストを読むだけの使い方となる。
この有料化の目的は、スパムやボットの削減を目的としたものであり、利用には電話番号の確認が必要である。

以前、Xの有料化の噂が出ていたがその歩みを止めてない。
ただし、影響が少ない国でテストを行うという点では、慎重に進めている。

以前から書いてるが、もうXがTwitterに戻ることもないし、メディアにとって都合のよかったTwitterの時代には戻らないと思われる。

 # 🧠 AI関連ニュース

日本SF作家クラブは、AIによる創作や、AIと人間の協同創作に関する声明を発表した。
AI技術の使用が創作において有益であると認識し、その発展を歓迎しており、日本のSF作家や関係者はAI技術の開発に協力してきたが、現在の生成AI技術は、学習データが生成物にどのように影響したかを明示することができないため、著作権や他の知的財産権を侵害するリスクがある。この技術的制約を考慮して、生成AIを使用する際には十分な注意が必要であると指摘している。
また、生成AIの技術的問題が解決されるまで、関連するすべてのステークホルダーに対して注意深い使用を呼びかけている。

生成AIと著作権に関する議論が進行中の文化庁の文化審議会の小委員会が開催され、日本新聞協会からの意見が取り上げられた。
同協会は、著作権者の権利を守るため、著作物の無断学習を認める現行の著作権法の改正が必要であると主張した。特に、生成AI機能を持つ検索エンジンが、有料記事を含む報道機関の記事を回答に使用している事例を紹介し、無断学習によって類似のコンテンツが大量に生成されている問題点を指摘した。
新聞社が情報分析用に記事データを販売していることを考慮し、AIによる学習には著作権者の許可が必要であるとの立場を強調した。

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 # 🗾 国内ニュース

注目ニュース

  • Yahoo!ニュースは、2023年10月下旬よりOpenAIの生成AIを使用して、ユーザーが投稿したコメントを要約する「コメントAI要約 β版」の試験提供を開始する。この新機能では、コメント欄の「おすすめ順」上位のコメントをAIが要約し、注目点やユーザーの気づきをコメント欄の上部に表示する。
    当初、ユーザの再来訪などを目指して作られたコメント機能が、問題視され結果、AIで要約される。閉じられない末の見つけ出した着地点と感じた(newsHACKS)

  • 米ロサンゼルスで開催された「Anime Expo」にて、集英社の細野氏を含むマンガの専門家たちが座談会を行い、ウェブトゥーンの可能性について議論した。ウェブトゥーンの出版事業との相乗効果や、若者や女性層への魅力、そして集英社の「ジャンプTOON」の計画が明らかにされた。WEBTOON Entertainmentのデビッド・リー氏は、米国ではデジタル分野の成長と印刷出版市場の成長が連動する可能性があるとの見解を示した。また、ウェブトゥーンの権利許諾の容易さと技術の進化が発展の鍵であるとの意見も出た(GEM Standard)
    また、集英社は第1回ジャンプTOON AWARDの結果発表がされた。多くの商業作品は、ウェブトゥーン制作はスタジオ制で行われているが、多くの個人作品が集まっており才能が集まる様子を感じる(ジャンプTOON)

  • デジタルガレージの子会社、BI.Garageと有力メディア30社が共同運営する「コンテンツメディアコンソーシアム」は名称を「クオリティメディアコンソーシアム」に変更し、「クオリティメディア宣言」を発表した。
    この宣言は、デジタル広告の品質と信頼性の向上を目指すもので、デジタル広告の問題点やフェイクサイトの増加に対応するとのこと(デジタルガレージ)

その他のニュース

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# 🌏 海外ニュース

注目ニュース

  • カナダのニュース業界団体は、大手インターネット企業にカナダのニュース出版社との広告収益を共有するよう求める新しい法律に関して、Googleの一部の懸念を支持すると、ロイターが報じた。
    この法律の目的は、大手インターネット企業にニュース出版社との広告収益を共有させることである(Reuters)

  • 2023年7〜9月期Netflixの決算は、売上が前年同期比8%増の約1兆2800億円、純利益が20%増。会員数は2億4715万人。
    米ハリウッドのストライキによる映像作品制作の中断が短期的な業績向上要因となった。また、米国での一部料金が値上げされた(日本経済新聞)

  • UK Society of Authors (SoA) は、Spotifyと出版社との取引について深刻な懸念を示している。著者や代理人がオーディオブックについてのライセンスの許可を求められていないこと、また著者がライセンスや支払い条件について相談されていないことを指摘している。また、オーディオブックのストリーミングが音楽ストリーミングよりも影響があるとも述べている(Good e-Reader)

その他のニュース

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# 📕 出版に関するニュース

注目ニュース

  • 不満買取センターがあつめたを運営する伊藤氏のnote「先週の生活者不満」にて、本屋や電子書籍に関する不満と期待について書かれている。
    不満買取センターでのデータによると、本屋や電子書籍に関する不満は2年間で20,872件が寄せられ、それぞれの不満の特徴や期待が明らかにされた。本屋の不満は「店員」や「品揃え」、電子書籍の不満は「値段」や「読み放題」が多いとのこと(伊藤友博|InsightTech_CEO note)

  • 堀江貴文氏のYouTubeチャンネルで、KADOKAWA社長の夏野剛氏との対談が公開されている。KADOKAWAの海外展開や、働き方の状況について語られている。
    出版社の中にいると感じるが、KADOKAWAはいろんな面で先進的だと感じる(ZATSUDAN)

  • KADOKAWAの北米子会社J-Novel Club LLC(JNC)がドイツに子会社JNC Ninaニーナ GmbH(Nina)を設立し、2023年10月から日本のライトノベルの電子出版・サブスクリプションサービスのドイツ語・フランス語版を開始したと発表した。
    欧州のマンガ市場の成長を受け、ライトノベルの潜在市場も拡大するとの判断から、JNCのビジネスモデルをドイツとフランスにも展開するとのこと(KADOKAWA)

その他のニュース

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# 編集後記

KADOKAWAの積極的な動きが、なかなか出版業界の中でもトップクラスだなと注目しています。

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老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。

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