読書推進は誰に向けて行うべきなのか Publidia #134
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# 💬 Threads API開発中
MetaのThreadsはそろそろメディアも向き合う時期かもしれないが、戦略なしに関わると危険ではある。
Instagramの責任者であるアダム・モッセリ氏は、ThreadsがAPIを開発中であることを示唆している。APIが出来上がることで、初期のTwitterと同じように、エコシステムが出来上がってくる可能性がある。
Twitterは、APIの一部機能を有料にするなどの変更を行なっている。
ただし、アダム・モッセリ氏はThreads上にニュースコンテンツが溢れ、クリエイターのコンテンツが減ることに懸念を示している。
新勢力であるThreadsに期待したい部分はあるが、Metaのスタンスを考えると一時期のニュースを優遇していたTwitterみたいなことは起きないと思われる。
ただし、今後TwitterやThreadsなど分散していく中で、存在していることは重要のため、そろそろThreadsとどう付き合うかは感が初めても良いかもしれない。
# 📗 読書推進は誰に向けて行うべきなのか
「若者の読書離れ」というウソ、の著者である飯田一史氏による、出版業界への提言とも取れる記事が出ている。
データの提示や、読書推進活動で抜け落ちてる点などの指摘が続いている。
現状も厳しいが、物流・運送業界の2024年問題などもあり、雑誌や書籍の売れ行きも今後厳しくなることは見えており、どう乗り越えていくのかは業界としての共通の課題である。
読書推進活動など、本好きに向けた活動は活発だと思われるが、読書をしてみたい、踏み出したいという人に向けた活動はあまりできてないと感じている。
新聞もそうだが、必要性は感じているが行動につうせてない人は多いと感じている。そうした人に向けた動きが少ないように感じる(やっているという業界関係者がいるなら大変申し訳ないが)
飯田氏の記事で、最後に書かれている”どこが課題と認識するか?”について少し考えてみたい。
本にまったく興味がない層には、何かを訴求することも難しいと思われる。そのため、本や読書をしてみたいが踏み出せない層を対象に考えたい。
前に進めない理由として、
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どの本を読んでよいかわからない
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本が高い
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時間がない
という課題があると仮定する。例えば、1と2を解決する方法として有料でおすすめの本(電子、紙問わず)を読めるサービスというのも考えられると思う。
時間がない、という課題に対しては毎日アラートを出してくれるアプリなど、もしくは毎日決まった時間分読書をしないと他のアプリが起動できないようにするなど。
とても、ざっくりと考えたものなので、課題設定も解決方法も鮮麗されていないが、こうしたアプローチで考えても良いと思う。
# 🧠 AI関連ニュース
日本新聞協会は、AIによる著作物の無断利用が報道機関に損害を与え、「国民の知る権利」を阻害すると主張し、著作権法の改正とルール整備を政府に求めた。
AIが新聞記事を無断で学習し、偽情報の拡散やプライバシー侵害のリスクがあると指摘し、AI生成物には開発者の情報開示義務と、AI生成であることの明示が必要だと提言している。
Forbesは、Google Cloudを活用した生成AI検索プラットフォーム「Adelaide」のベータ版を立ち上げた。このツールは、過去12ヶ月のForbesの記事を学習し、読者が特定の質問をすると、関連する記事を推薦し、要約された回答を提供する。
将来的には、1917年の創刊以来のアーカイブにまで知識ベースを拡大する計画があるとのこと。
USA Todayのスタッフは、同社が所有する製品レビューサイトReviewedでAIによって生成されたと思われるコンテンツが使用されている疑いについて憤りを感じている。
Reviewedには、疑わしいほど類似しているレビュー記事が存在すると報告されている。お親会社のGannettはAIの使用を否定していますが、ユニオンはこれを労働組合破りの試みと非難している。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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朝日新聞デジタルで、Yahoo!ニュースとメディアで起きた軋轢について2回にわたって紹介している。コメント欄の閉鎖、プラットフォームからの一方的なルールを押し付けられているなど、少しメディア寄りの印象を受ける記事だ(朝日新聞デジタル 上 下)
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Google検索は2023年10月31日に新たな設定「アカウントに基づく情報」を追加し、ユーザーの検索履歴に基づいたコンテンツ表示を制御する機能を導入した。これにより、性的なコンテンツのフィルタリングが強化され、一部のサイトが検索結果から除外される事態が発生している。
このフィルタリングが強すぎて、適切にフィルタリングされていないという声も出ている(SEMリサーチ)
その他のニュース
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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BuzzFeedは、2年前に約3億ドルで買収したComplex Networksの大部分を1億4千万ドル未満で売却する交渉を進めている。これはデジタルメディア産業全体の困難を示すものである。コマース企業のNtwrkがComplexの買収に近づいている。Buzzfeedは、売却後もComplex Networksの部門を残す予定のようだ。
BuzzFeedの株価は、2021年にSPAC公開されて以来、大幅に下落している(NYT) -
ネット広告業界団体であるIABの最新の調査によると、ポッドキャスト広告収益の61%がブランド構築のために使用されている。この数字は過去2年間で13%増加した。また、ダイナミック広告挿入(DAI)のシェアは過去3年間でほぼ倍増し、広告収入の90%以上を占めている。
しかし、ポッドキャストの成長を継続するためには、他の競合するデジタルメディアと競争できる機能開発を行う必要がある(IAB) -
米Metaは、欧州でのインスタグラムやフェイスブックを利用する18歳未満のユーザーへの広告配信を一時停止すると発表した。これは、欧州でのプライバシー保護規制の強化を背景にしたものである。また、Metaは11月から欧州で広告を表示しない有料プランを提供すると発表している。デスクトップ版で9.99ユーロ、iOSまたはAndroidデバイスで12.99ユーロの月額料金の予定だ(日経新聞)(CNBC)
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プラットフォーマーに対する規制や批判が増加している。
米国や英国でのGoogleに対する反トラスト訴訟や分割提言、Metaの投資低下などが目立つ。日本の公正取引委員会もGoogleに対する独占禁止法の審査を開始している。EUや豪州、カナダではニュースコンテンツ使用料の交渉が進行中だ。しかし、プラットフォーマーはニュースコンテンツを必要としておらず、FacebookやXはパブリッシャーのコンテンツを必要としない方針を取っている(DIGIDAY[日本版]) -
自動運転技術のLuminar Technologies CEOである若手起業家オースティン・ラッセル氏は、Forbesを800万ドルで買収するための期限を延長するよう要請している。新しい期限は約2週間後でラッセル氏が期限までに資金を調達できなければ、他の買い手が現れる可能性がある(Axios)
その他のニュース
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
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2020年ごろから始まったSimon & Schusterの買収だが、KKRが1.62億ドルで買収完了した。2020年にPenguin Random Houseの親会社が買収の話で進むが米国司法省の阻止により破談となり、PEファンドのKKRが買収となった(PUBLISHER WEEKLY)
その他のニュース
# 編集後記
Twitterばかり投稿してしまって、Threadsに全然投稿できない。逆に投稿している人は一体どうやっているんだろう。。。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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