小規模パブリッシャーのチーム編成 Publidia #154

海外の新興小規模パブリッシャーの話題や、米国のTikTok売却の可能性について書いています
ayohata 2024.03.23
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# 小規模パブリッシャーのチーム編成

海外では小規模のニュースパブリッシャーが多く立ち上がっており、課金モデルやニュースレターモデルで成功し始めている。
NewYorkTimesが、そんな新興ニュースパブリッシャーの状況について書いている。

Sprouts of Hope in a Gloomy Media Landscape - The New York Times 

「ユーザのニュース疲れ」「低調で不安定な広告市場」「プラットフォーマーからのトラフィック急落」の影響により、厳しい売り上げ状況となっている。それにより編集部が閉鎖や大幅な人員削減が行われている。

BuzzFeedやViceMediaのように大きく資金調達をして、苦しんでいったニュースパブリッシャーと対照的なアプローチでコロナ禍に生まれた新しいパブリッシャーがいくつか登場している。

PUCKPunchbowlThe Ankler.Semaforである。The Ankler.に至っては自社サイトでの運営ではなく、ニュースレター配信サービスSubstackを使って運営をしている。
少数精鋭でコストを抑えたニュースレターで運営しているパターンが多い。
それらは広告中心に依存せず、有料購読やイベントなどの組み合わせで注力している。

具体的にそうした新しいパブリッシャーはどういった人材を置いているのか。

たとえば、Punchbowlでは当然プロダクトマネージャーも置いてるが、事業開発や収益担当の人材がそれぞれいる。他にも、グロース担当の人材など役割ごとに人材を置いている。
SEMAFORでは、SQLやPython、Google BigQueryを扱えるデータ分析人材の募集も行なっている。

先ほど挙げたようなパブリッシャーは少数精鋭とはいえ、メディアビジネスを運営する上で必要な役割を明確に定義して人材を確保してチームを作っている。

もし、事業開発や営業、開発ディレクションとデータ分析などが兼務が中心だとした場合、日々の業務を回していくことでいっぱいになっていく可能性がある。
また、データ分析が単なるGA4の読み解きだけで終わってないか、適切な人材が配置されているか。

人材配置はそうした視点で見直しをしているのも良いのではないかと考える。

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 # 🗾 国内ニュース

その他のニュース

  • これからのメディアはどうなる? 100,000時間をメディアに費やした編集者の視座(ENILNO)

  • はてな---2Qも増収、売上高・利益ともに通期業績予想に対して順調に進捗(ザイ・オンライン)

  • 米重克洋:記者不在の通信社がテクノロジーで挑む、報道の構造問題(MIT Tech Review)

  • 有料ビジネスメディアの厳選記事サブスク「SmartNews+」で新たに7つの英語学習サービスのコンテンツ・4つの専門メディアを追加、提携パートナーは36に拡大(スマートニュース株式会社)

  • ジオロジック、スマートニュースグループへの参画を経て、ファーストパーティーデータによる位置情報広告を開始(株式会社ジオロジック)

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# 🌏 海外ニュース

注目ニュース

  • The Economistの展開するモバイル専用サービス「Espresso」が若い世代のユーザを獲得しているとPressGazetteが伝えている。
    月7.9ポンド(約1,500円)で1日5本の記事や毎日配信のポッドキャストが読め、1日平均の購読者は21,775人を獲得している。紙面版は減少しているが、デジタル版は成長しており移行していってる。
    若い世代獲得のために、SNSからの獲得を模索し、価格の調整などを行いユーザ獲得を仕掛けている(Press Gazette)

  • 米下院がTikTokを売却しなければ禁止する法案を可決した。それを受けて、米国のムニューシン前財務長官は14日テレビ番組で、TikTok買収のためにグループ結成することを表明した(日本経済新聞)
    しかし、こうした米国外のアプリへの締め付けが実行されれば、今後経済的な緊張を生む可能性があるとAxiosは伝えている(Axios)

その他のニュース

  • Threadsがトレンドを米国で展開(TechCrunch)

  • 米NYタイムズ、OpenAIの主張に反論 著作権訴訟で(日本経済新聞)

  • コミュニティの力、AIの挑戦、そして印刷の再発見 バルセロナのMx3イベントより(MediaMakersMeet)

  • Atlantic, Bloomberg, Guardianの購読者増加への戦略と革新(INMA)

  • New York Timesの独自アプリで展開する音声ニュースの新潮流(PressGazette)

  • AIが活用するニュースをどう評価すべきか?出版社向けのチェックリスト(Poynter)

  • Sensor Towerがdata.aiを買収(Sensor Tower)

  • Media Briefing[日本版]:☕️ Cookie 終了でディスプレイ広告、リテールメディア、ストリーミングに起きること🤔(DIGIDAY[日本版])

  • ペイウォールを捨てて成功する方法(MediaMakersMeet)

  • ニュースパブリッシャーが書籍出版、ワークショップ、教育コンテンツでどのように収益多様化させるか(The Fix)

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# 📕 出版に関するニュース

  • トーハン×Nebraska 無人書店3店目オープン「メディアライン大山店」3月15日から24時間営業に(BookLink)

  • トーハン・近藤敏貴社長、業界巻き込み逆風挑む 書店・版元と一丸(日本経済新聞)

  • 【紀伊國屋書店に聞く】高井会長「業界改革実現へ大きな波起こす」 藤則社長「紀伊國屋書店が強くなって業界発展させる」(BookLink)

  • 直木賞作家・今村翔吾氏が神保町に上げる「本屋さん」再興の狼煙(日経ビジネス電子版)

  • 丸善CHIホールディングス、微増収増益決算に(新文化オンライン)

  • KADOKAWA・はてな 有料サブスク読書サービス「カクヨムネクスト」開始 作家の収益化目指す(The Bunka News デジタル)

  • 書店経営難について考える(ウィスキーキラー note)

  • 「無名の本でも好きになってくれる人はいる」。早期退職した元雑誌編集長が「ひとり出版社」を立ち上げ、大人向け絵本『東京となかよくなりたくて』を出版した理由(株式会社月と文社のストーリー|PR TIMES STORY)

  • 「売れそうな本」を作る必要が、本当にあるのか…荻窪の書店が「中小出版社の本」にあえてこだわる理由 本の濫造は本の価値を貶め、本への信頼を奪う(PRESIDENT Online)

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# 編集後記

先日、ポッドキャストの収録をしましたが、花粉症ぽい声をしていたので、自分は花粉症だと認識しました。

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老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。

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