ニッチメディアの有料化 Publidia #147
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# ニッチメディアの有料化
ニッチなメディアはまだ生き残れる、そう感じた内容であった。
麻雀雑誌がnoteで数千万円の収益を生み出しており、雑誌の赤字を補えてる状況のようだ。
数年前から広告モデルからサブスクモデルへ移行すべきだ、という論がある。
ただ、ユーザは本当にサブスクを求めているのかは疑問である。
無料の記事を探せば存在する分野はサブスクには向かないと思われる。だが、無料で情報がない場合はサブスクは見合うと感じる。
しかし、noteなどプラットフォームに依存することでユーザデータを得られないことがデメリットと感じるパブリッシャーもいると思うが、初期投資できる余力がないなら、頼ることも悪手ではないと感じる。
近代麻雀の件は、良い選択だと感じる。
しかし、似たような内容が世に溢れてるニュースなどは本当にサブスクは厳しいと感じる。
少なくともニュースが読めるということがコアな価値として訴求している場合は特に厳しいだろう、あとYahoo!ニュースでも読めるものを有料で提供している場合も。
# ゲームを提供するがコアには据えない
Axiosが、The New York Times(NYT)のワードパズルWordleの成功とゲームアプリのリデザイン進行中と報じている。
Wordleは2022年にNYTが、個人制作のゲームを買収したものである、現在でもNYT上でプレイが可能である。のべ48億回プレイされるほど人気のゲームである。
また、NYTのゲーム部門の責任者はコメントしており、ゲームを長く遊ばせるために運営しているわけではない、とも語っている。
ゲームを使ってユーザを引き寄せることで、NYTの契約に繋げることも可能かもしれないし、すでにWodleでの広告販売なども試験的に始めている。
また、NYTの成功により非コアのサービスも追加する、バンドル化も海外では1つのキーワードとなっており、日本でもサブスクメディアのバンドル化は進む可能性があると感じる。来年ぐらいから。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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松竹とTBSホールディングスは資本業務提携し、互いに30億円までの株式を取得する。テレビアニメ、映画の共同製作、劇場運営などで協力や都内のエリア活性化などで取り組みも行う(日本経済新聞)
TBSは制作会社THE SEVENをもっていたり、やU-NEXTとの資本業務提携を行なっており、映像制作から映画、テレビ、配信と自社の資本関係があるところで実施できるようになった。 -
ウェブトゥーン制作のソラジマCTOが出資しているサイバーエージェント・キャピタルのインタビューに答えている。ChatGPTをつかったアイデアソンなど、技術をつかったアイデアの話題が興味深い(サイバーエージェント・キャピタル)
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NHKのネット事業の件で続報である。記事を額面通りに受け取ると、NHKのニュースサイトが受信料を払っている人が使える形に変わるとも受け取れる。(朝日新聞デジタル)
個人的には、受信料は払っているので、閲覧にわざわざ認証しないといけなくなるなら面倒だとは思う。しかし、質が高い報道を無償で得られるのはNHK WEBかYahoo!ニュースぐらいである。悩ましいところである。 -
インプレスは、GoogleのAIモデル「Gemini」を使用したAI要約機能をImpress Watchシリーズの17媒体で開始した。12日間で2万回利用されているとのこと。(株式会社インプレス)
生成AI利用の良いモデルだと感じる。ただ、恐れて学習させないだけにとどまらず活用して、ユーザ体験を上げる取り組みは参考にすべきところがあると感じる。 -
読売新聞が、利用規約を改定し生成AIの学習利用禁止とした。また、それに加えてスクレイピングなども禁止事項として挙げている(ITmedia NEWS)
本件、学習禁止は海外でも同様の流れだが、解釈によってはGoogleの検索エンジンのクロールもできない形となっており話題になっている。
この時代において、いろんなものを理解した上で利用規約をつくれる法務部門が求められると感じた。
その他のニュース
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「サンクチュアリ -聖域-」「幽☆遊☆白書」――なぜ坂本和隆はNetflixで世界でヒットする作品を作れるのか(AERA dot.)
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「X」(Twitter)を信用できない人は誰? コミュニティ ノート数ランキングが登場(窓の杜)
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現代的データ報道の最大の特徴と、それを取り巻くさらに大きな流れ(荻原 和樹)
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今日のクリエイターエコノミー(Essays by Itaru)
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アップル、EUで外部ストア解放 日本への影響と「もう1つの解放」【西田宗千佳のイマトミライ】(Impress Watch)
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新しい未来のテレビ「ABEMA」、年末年始としては開局史上最高の週間視聴者数となる2,130万を記録 緊急会見などを24時間365日放送している「ABEMA NEWSチャンネル」や格闘コンテンツが牽引(株式会社サイバーエージェント)
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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海外のメディア系レイオフや低迷の話題が続く。
ロサンゼルス・タイムズが編集部員の約2割レイオフ、ビジネスインサイダーは8%の従業員削減(日本経済新聞)
Condé Nastが買収した音楽メディアPitchforkがGQの傘下に置かれることで多様な音楽の存在がフィーチャーされることが減っていくだろうと音楽業界関係者は語っている(AP)
米国のForbesの組合がストライキを計画しているとAxiosが伝えている。100年以上の歴史の中で初のストライキとなる(Axios)
米国CNETを持つRed VenturesはCNETを売却に苦戦しているとFuturismが伝えている。2023年頭に報じられた、生成AIを使った記事で誤った情報を発信や盗用があった事案が後を引いてると伝えられている(Futurism)
PressGazetteによると、2024年がスタートしてすで950人以上は解雇やレイオフされていると伝えている(PressGazette)
日本と海外では雇用形態や法律が違うが、日本も経営状況的には厳しいパブリッシャーも多い状況だと思われる。 -
先週話題にした、G/O Mediaが保有するメディアブランドを売却しようとしている報道に、
Axiosのインタビューで否定している。資金には困っていないとCEOは語っている。
また、Axiosの記事ではG/O Media幹部はAIを使っての実験を行いたいが労働組合との緊張関係によるその実験が進んでいないという話もある(Axios)
その他のニュース
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ニュースビジネスは利益になるのか メディアを買収した大富豪の誤算(朝日新聞デジタル)
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米メディア・パラマウント、オーナー家が売却の意向(日本経済新聞)
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Apple、iPhoneにサイドローディングと別のアプリストアを導入か(The Verge)
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Apple、ニュース会社に数百万ドルのAI利用に関する契約を打診(INMA)
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米議会公聴会、メタCEOが謝罪 SNSの若者被害巡り(日本経済新聞)
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The New York TimesがAI探求を行うチームを結成(The Verge)
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The New York Timesが新しい署名ページを公開、信頼のため(Nieman Journalism Lab)
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ユニバーサル・ミュージック、TikTokに楽曲出さず テイラー・スウィフトさん所属(日本経済新聞)
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Z世代などがニュースに求めるもの(MediaMakersMeet)
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メディア 業界を襲うM&Aの波。実現したら面白いタッグとは?(DIGIDAY[日本版])
# 📕 出版に関するニュース
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ゼクシィ、雑誌不況・婚姻減でも好調 30周年で部数最高(日本経済新聞)
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出版物の推定販売額 電子は好調も紙大きく落ち込み 前年下回る(NHK)
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「今、ひとりの書店主として、伝えたいこと」を、勇気を振り絞って書いてから、 雨にも負けず、嵐にも負けず、雪にも負けないと踏ん張っていたが。。。一難去って、また一難、コミックが、、、(二村知子 隆祥館書店)
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NY2024 今どき本屋さん事情(朝日新聞デジタルマガジン&[and])
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The AI-generated Books Trend is Getting Worse(AI business)
# 編集後記
海外でのレイオフが続いており、景気が悪いネタが多いというのが本音です。
しかし、冒頭にもってきた近代麻雀のような事例は救いがあると思います。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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