TikTok Shopが米国で正式にオープン Publidia #126
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
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# 🛡️ TikTok Shopが米国で正式にオープン
ベータ版を経て、米国で正式にオープンした。
アプリに、ショップタブが追加されてライブショッピング機能、広告、クリエイター向けアフィリエイトプログラムの導入されている。TikTokは米国内でユーザ数は1億5000万を抱えている。記事では、すでに20万人の販売者が登録していると書かれている。
ただし、販売されている製品の品質が低いという指摘もあるが、TikTok側としてはいくつかのブランドがTikTok Shopに参加していると主張している。有名スポーツメーカーの安価なコピー品も販売されていた、という話もでている。
TikTok Shopは東南アジアで先行してスタートしており、利用者も急増している。
Amazonに対抗する狙いがあるようだが、遠い道のりかもしれない。
# 📰 NYTのゲームバンドル成功の秘訣
ニューヨーク・タイムズ(NYT)のゲーム責任者が、ゲームの適度なバランスの大切さについて語っている。
NYTは、ワードパズルゲームWordleを買収したが、現在では他にもゲームを抱えている。
ゲームにより、長期購読者であり続ける可能性も高いと分析結果を述べている。
ゲームをただ導入すればいいというわけではなく、適切なバランスで提供することの大事さも感じる。
また、この話に影響を受けてNieman Labはゲームを作ったと書いている(が、アドバイスに全然そっていない、初手でわからないゲームなので、ゲームづくりの難しさを)
# 🧠 AI関連ニュース
ウォール・ストリート・ジャーナルなどを抱えるニューズ・コープCEOが、AI企業とコンテンツ利用に関して交渉中と語った。訴訟を進めようとするメディア企業もあるが、ニューズ・コープは交渉に関心があると語っている。
AIを使った読書コーティングサービスElloが1500万ドルの資金調達を行なったとTechCrunchが伝えている。
Elloは小学校3年生までを対象とし、毎月24.99ドル(3,700円程度)で5冊の本が届くサービス。子供の興味関心ベースで本は選ばれるとのこと。
また、特徴的なのは子供が本を読んでる様子を分析しアドバイスもしてくれるサービスになっている。
AmazonのKindle Direct Publishingで新しいコンテンツガイドラインが公表された。
そのガイドラインでは、コンテンツにAIで生成したコンテンツが含まれているか開示する必要がある、という項目が追加された。
また、AIの支援を受けた場合、開示は不要となっており、生成と支援の境目についても明示されている。
ベストセラー作家スティーブン・キングがThe Atlanticに寄せたエッセイを紹介している。
タイトルにある「学習されても構わない」はかなり、違和感があるタイトルだと感じる。そこは差し引いて読んでいただきたい。あくまで、否定的ではないという主張をしている。
元のエッセイを読んでいただきたいところである。
作家グループからOpenAI社は訴えられているが、新たに作家グループから訴えられているとTheVergeが伝えている。
著作権で保護された作品を不正かつ違法な方法で利益を得ているという主張である。
HON.jpが主催した「HON-CF2023(ホンカンファ2023)」のレポートが上がっている。
SF作家、藤井太洋氏や、漫画原作などを手掛ける小沢高広氏、文藝春秋の電子文芸誌「別冊文藝春秋」及び「WEB別冊文藝春秋」の編集長・浅井愛氏などが生成AIへの向き合い方などについて語っている内容である。
OpenAIのサム・アルトマンCEOがセールスフォース社のイベントにて「AIについて新たな(規制)機関を設けるのがもっとも理にかなっている」と語った(日経新聞)
また、ワシントンで開催されたAIインサイトフォーラムでMetaのCEOマーク・ザッカーバーグ「イノベーションと安全策を支援するために議会はAIに関与すべきだ」と述べている(The Verge)
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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Gunosyの代表である木村新司氏が自社オウンドメディアにて振り返りとこれからについて語っている記事だ。TikTokのおうな数字を追い求めすぎたアルゴリズムが流行ったり、メディア環境的にも感情を煽るような記事が多い中で、新しい体験を定義して心地よい届け方を形にしたいと木村氏は語っている
Gunosyは、先行してスタートしたが競合にある種負けたがKDDIと組んで出したニュースパスなどチャレンジも継続的にしている会社だ。今後の10年、期待したい(Gunosiru) -
SmartNews傘下のSlowNews代表の瀬尾氏へのインタビューが朝日新聞のRe:Ronで掲載されている。昨年、モバイルアプリなどクローズしたが、今年6月に再スタートしたがその思いについて語っている。現在はnoteを使った有料会員制のコミュニティや、VoicyやTikTokなどをつかった発信をしている。以前SlowNewsで連載していたものが書籍化にもなっている。
個人的には応援したい取り組みだが、ビジネス上厳しいと感じる部分はある。語られている、コミュニティの大切さも同感なのだが、ビジネス(キャッシュまわり)がどうしても成立するとは感じられなかった。先日の、文春が寄付プランにチャレンジしたのもそうだが、寄付プランなど一人の人からの収益(ARPU)を上げていくことはやってもいいのでは、それぐらいの価値をあることをやっているのではと感じる(朝日新聞デジタル)
その他のニュース
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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Metaのニュース関連で動きがいくつかあった。
イギリス、フランス、ドイツにおいてFacebookのニュースを縮小する。いくつかのパブリッシャーはFacebookからの支払いを受けている。アプリのニュースタブは今年の12月ごろから終了していくと予告している(PressGazette)
また、カナダでは法案が通ったことでFacebook上のニュースを遮断しているが、カナダ政府はMetaとGoogleに対して妥協案として二社に支払いを求める内容を提示している(Media Innovation) -
ニュースメディアVoxは設立10年未満ですでに110名のジャーナリストが在籍しているメディアである。WAN-IFRAの世界ニュースメディア会議で編集長のSwati Sharma氏がその道のりについて語っている。
メディアのミッションや、編集方針、収益の方針について語っている(World Association of News Publishers) -
X(Twitter)上で、ニューヨークタイムズへのリンクを含むツイートのエンゲージメントが急激に減少していると指摘されている。7月から8月上旬にかけて他のメディアと比較して極端に下がっている。ニューヨークタイムズ内部でも認識されていた課題である。
以前Xは、ニュースレターサービスSubstackへのリンクをブロックしたり、プラットフォームとして特定のサービスへのアクセスコントロールをしている(Semafor) -
Instagramの創業者が立ち上げたニュースアプリArtifactに新機能が追加された。元々、提携メディアのニュースのみ閲覧できるサービスであったが、Linksという機能ではユーザが気になった記事をシェアできるようになった。
わかりやすくいうと、ユーザがニュースにコメントもできるのでNewsPicksのようなソーシャルニュースサービスに変化していっている。
最初からLinks機能を提供せずに、最初に提携メディアのみの記事でコミュニケーションできるようにして、クオリティをコントロールしていたと感じる(The Verge)
その他のニュース
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Amazon is quietly building the most powerful advertising machine in the world (Yahoo!finance)
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Axiosに学ぶこれからのメディアが大切にすべきこと|MEDIA DAY TOKYO 2023(PR TIMES MAGAZINE)
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深夜休日勤務を強いて社員を痛めつけるイーロン・マスクにヤッカリーノCEOは無言。それがXの現実(Business Insider Japan)
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デジタルメディア が過ごした2023年の熱い夏まとめ。AI活用、MFA騒動、激動のソーシャルメディア界隈など(DIGIDAY[日本版])
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The benefits of data mining for media brands(Media Makers Meet)
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Exclusive: The Economist adds podcast subscription tier(Axios)
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Spotify appears to be planning free audiobook trials for subscribers(The Verge)
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News trends for publishers: Ten key issues they need to tackle(PressGazette)
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
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予告されていた、米Amazonの Kindle Periodicals Program(定期刊行物プログラム)が9月4日に終了し、独立系の出版社が苦しんでいる。一部の雑誌は終了などしている。Kindle Unlimitedに移行する雑誌もあるが、以前のプログラムと同等規模の収益確保はできていないようだ。
自前でのサイト立ち上げのコストを払うことも難しい出版社もあるようで、それなりの規模でできていた出版という行為がある種破壊されているようにも見え、これにより文化が破壊されていっているようにも感じるが、そこまでしか残れない文化だったのかもしれない(The Verge)
その他のニュース
# 編集後記
生成AIに関する動きがいろいろと出ています。
活用という点で、難しさを感じる事例を見かけました。うまい活用例が出てくれることを望みます。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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