スワイプ広告の悪 Publidia #123
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
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今週もよろしくお願いします。
先週はお休みをいただきました。
X(旧Twitter)関連でも色々と動きがありましたが、今週もよろしくお願いします。
また、Publidiaでは今回からサポートメンバーの募集を開始しました。
編集後記で、サポートメンバーについての説明させていただきます。よろしければご一読ください。
# スワイプ広告の悪
エンジニアの知識や技術を共有するサービスQiitaにて、スワイプ広告を解析した内容があったので、紹介したい。
スマートフォンで出会ったことがあるかもしれないが、ほぼ正方形の広告枠で左右にスワイプすると広告先に遷移する広告である。
タップしていないのに、なぜか広告主のサイトに移動したいことはないだろうか。
これらの広告がどのような仕組みで、広告タップを検知しているかなどを技術的な切り口で紹介している。
非技術職の方だと、Qiitaの内容が難しいかもしれないので、端的にいうと縦横にスワイプしていると飛んでしまう仕様であるということ。つまり記事を読む時に手に当たると飛ぶ仕様になっている。
この記事の最後に書いてる通り、こういった広告を出しているとユーザビリティも損なうし、なによりブランド価値も下がる結果になると思われる。
残念ながら、この広告があることでとてもつなく収益が上がるものではない、ブランド価値とトレードオフにはなってないと思われる。
もし、自社のメディアでこのような広告見つけた場合どうすればよいか。
外部の広告会社に運用を依頼しているなら、説明を求めるのが良いと思われる。社内の部門で運用している場合も同様だ。
しかし、どちらにしろ問題が多い広告であることから、早めに排除はした方が良いと感じる。
ユーザのエンゲージメントが落ちた場合、こうしたサイトを見るより縦型動画や、広告が少ないアグリゲーターやプラットフォームで情報を見ようとなる可能性があるからだ。
こうした動きは、じわじわと茹でガエルのように訪れる。
# 🧠 AI関連ニュース
収益が落ちているBuzzFeedはAIに賭けている。AIで生成したコンテンツに注力している。
急落の原因は、Facebookなどのアルゴリズム変更や縦型動画の流行りなどによる影響である。
ニューヨーク・タイムズはAI学習のためのクローリングを禁止すると、利用規約を更新した。
また、現在メディア企業が連合してAI企業と交渉を行っているがニューヨーク・タイムズはその交渉に参加しないとも報じられている。
また、NiemanLabによるとAI企業は報道機関を選別して契約する可能性があるとも書いている。
Axiosによると、AI生成技術が進化するの中でAmazonの中にAI生成された書籍がスパムのように生まれている。さまざまなジャンルの書籍で、そういった書籍が生み出されている。
また、AIによるレビュー投稿も徐々に増え始めているとのこと。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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広告・アドテクノロジー事業を手掛けるフリークアウトが、YouTuberなどを抱えるUUUMの公開買い付け開始を発表した。UUUMは短尺の縦型動画におされ、長尺の動画の再生数が厳しい状況になり収益化も厳しい状況となっていた。(官報ブログ)
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X(旧Twitter)の短縮リンク(t.co)が、2013年前後のものが正しく表示されなくなっているとOREFOLDERというブログが調査結果を伝えている。
直ちに全てのt.coが動かなくなるわけではないと思うが、動かなくなる時期が広がる可能性もあると考えて動く必要があると思われる。(OREFOLDER)
その他のニュース
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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ニューヨーク・タイムズが、2023年4〜6月期決算売上高が前年同期比6%増の5億9085万ドル(約845億円)となったと発表した。広告収入は横ばいだったが、デジタル購読者が前四半期と比べて18万人増加の919万人に達している。
成功の要因として、バンドルと呼ばれるニュース以外のゲームやレシピ、製品レビューやスポーツ情報などに全てアクセスできるサービスが加入者を促進しており、一年目の加入は安く入れ、二年目から通常価格になるが解約はそれほど多くないようだ。(日経新聞 / NHK / Press Gazette) -
エンタメや政治、金融ニュースなどを扱う新興メディアのPuckが1000万ドル以上調達したとAxiosが伝えている。
このPuckのユニークなところはジャーナリストが、定期購読料の一部を受け取れることだ。ジャーナリストをインフルエンサー的にして、報酬もその分シェアするという動きは近い時期に立ち上がったSmaforも同様である。(Axios)
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先日、カナダ国内のニュース保護に関する法律可決に関連してFacebookがニュースを表示しない措置をおこなったが、先行して似たような状況となっていたオーストラリアの元政府高官の言葉を朝日新聞が紹介している。オーストラリアでは、GoogleやFacebookは報道機関の多くと契約しているとのこと。
今、AI企業が報道機関と揉め始めているが、参考になるインタビューだと感じた(朝日新聞) -
BBC Newsの主要ポッドキャスト「Newscast」は、チャットサービスDiscordにサーバーを立ち上げてから1ヶ月以上が経過している。このDiscordサーバーを通じてリスナーとの関係を深めてることを目指すとのこと。(PressGazette)
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米CNETがSEOのために、過去の数千の記事を削除していたことがわかった。Googleの人間は、X(旧Twitter)でコンテンツの削除を推奨していないと呟いている。米CNETは親会社からの圧力によりAIによる記事生成など行い混乱が続いている。
個人的には、SEOやデジタルマーケの情報は精査しないと、都市伝説に飛ぶつくことになる。信頼できる専門家が必要だと感じる。(MediaPost)
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As Disney Loses More Streaming Subs, It Bets On Advertising(AdExchanger)
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Media is still a hard business(Brian Morrissey)
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France's AFP sues Musk's X social media, cites refusal to discuss payment for news(Reuters)
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
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米国のオンライン書店マーケットプレイスであるBookshop.orgが多くの利益を独立系書店にもたらしているとGood e-Readerが伝えている。Bookshop.orgは独立系書店を支援するために作られたプラットフォームである。
要は、対Amazonである。こうした取り組みが日本でも増えればいいのにと感じる
(Good e-Reader) -
KADOKAWAの2023年4-6月期の純利益が50%減と日経新聞が伝えている。前期にゲーム事業大きく売上を伸ばしていたこともあり、その反動で純利益が落ち込んだ。
ただし、前Qで予告されていた事項のため失速という書き方もどうかとは思う。(日本経済新聞) -
朝日新聞のバーティカルメディア「ツギノジダイ」で有隣堂の社長インタビューが掲載れている。
これは普通に面白かったインタビューなので、紹介しておきたい。
子供が本を買える場を残したい 有隣堂7代目が挑む「書店の再定義」 | ツギノジダイ
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# 編集後記
冒頭にも書きましたが、サポートメンバーの募集を開始しました。
執筆活動の継続のためにサポートをいただけると嬉しいです。
以前、ニュースレターでのマネタイズは考えていないとどこかで書きましたが、少し考えが変わりました。
現状、無償で配信を行っていますがそのための情報収集で有料の媒体にそれなりの数にアクセスをしたり、作業効率化のための仕組みの課金も行っています。
今後、海外の媒体も有料版など契約を進めていきたいことなどもあり、今回サポートメンバーの募集に踏み切りました。
月額500円から参加可能で、1000円、1500円のプランもありますが金額は自由に設定でき、金額が違っても受けられる特典は同一となります。
サポートメンバー向けの特典として、取材メモの共有を行おうと思います。これは、私が調べていることなどをいち早く共有させていただき、コメントもすることが可能の予定です。
また、サポートメンバーが増えた場合にはゲストライターによる寄稿も将来的には増やしていければと考えていますが、これはあくまで予定です。
あと、サポートメンバーに限らず、読者の方からの広くご意見やご質問、ご相談は受け付けていますので、ニュースレターへの返信やSNS経由でのご連絡などもお待ちしています。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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