米国でのTikTokのこれからは不透明 Publidia #124
このニュースレターPublidiaは、10年近くウェブメディアや書籍系ウェブサービスに関わっているアヨハタが国内外の「出版」「メディア」に関する動向について紹介しています。
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いよいよ9月になりました。もう今年もほぼ終わりです。
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先日は、ニューヨーク・タイムズのR&Dというメモを共有しました。ニューヨーク・タイムズの技術人材への投資について調べた内容になっています。
# 🇨🇳 米国でのTikTok禁止になるのか、ならないのか?
2023年5月にアメリカのモンタナ州で、TikTokを禁止する法案が可決された。2024年1月に施行される予定のようだ。
Semaforで、TikTokの禁止法案について現状がまとめられている。
禁止法案について進めようとする立場の人間も多いが、まだまだそれについて反対の立場のものもいる。また、禁止することで若年層の票を失う可能性があるため二の足を踏んでるという話もある(NYT)
ユーザーデータの取り扱い、とくにTikTok運営のByteDance社と中国政府との関係について気になる部分もある。
まだ、米国でのTikTokの対応は不透明な状況である。決定的な対応の方向づけはなされていない。
だが、仮にアメリカで禁止された場合に日本側でも禁止する動きが出てもおかしくない。そういう可能性がある。そのため、TikTokのみ縦型動画サービスと関わるというのはリスクでしかない。
# 🏬 北欧、暮らしの道具店 のクリエイティブを支えるのは文化か仕組みか
2007年にビンテージの北欧食器の専門ECサイトとして始まり、現在はオリジナル商品の販売やポッドキャスト、メディア事業や劇場映画を作ったりしている北欧暮らしの道具店。
2022年には上場もしている。2022年7月期の売上は51億4900万円という規模である。
世界観があるコンテンツで、支持をうけている北欧、暮らしの道具店のクリエイティブはどのように作られているか、Agendというウェブメディアで社長の青木氏、取締役の佐藤氏にインタビューを行っている。青木氏と佐藤氏は兄妹である。
記事を読んでいただければ、かなり詳細に語られているのでぜひ読んでいただきたいが、仕組みが出来上がってることがわかる。
いわゆる伝統的なメディア企業において、コンテンツ作りは仕組みになっているところは少ないと感じる。
当然、研修や仕事の過程で引き継がれている部分があると思うが、こうしたコンテンツを作る仕組みを語っているインタビューはなかなか少ない気がする。
# 🧠 AI関連ニュース
New York Times、CNN、オーストラリアのABCなどがOpenAIのbotをブロックしているとThe Guardianが伝えている。先週のPublidiaでも伝えている内容である。
記事の中で、海外でも色々なメディアで対応の濃淡があることもわかる。
AIのbotの対応策の難しさについて書かれている。
OpenAIなどはbotの拒否方法について開示している。しかし、まだ拒否方法の開示などを行っていないAI企業も存在する。また、存在を認識されていないbotも存在する。
そして、ペイウォールを使っているサブスクサイトでもうまく、bot向けに有料部分を読ませないようにできているか不安なところもあるとのこと。
学習のためのクロールについて、コントロール方法の開示ルールなどもないため、しばらく混乱が続くと思われる。
# 🗾 国内ニュース
注目ニュース
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Z世代はググらない(Googleで検索しない)と聞くが、AI店舗支援SaaS「口コミコム」を運営する株式会社movを引用してお店の検索をする時の行動分析が書かれている。
まあまあググってることがわかる。いわゆる一般論を鵜呑みするのでなく、調査データなども読み込んで物事を捉える重要性があると感じる。(MERY) -
Googleがラボ機能としてSearch Generative Experience(SGE)を提供開始した。
Gogoleの検索結果のファーストビューに、検索したキーワードに対してAI生成した概要が表示される。その際に、どのサイトを参照したかもあわせて表示される。
広告事業の影響も考えて、バランスを取った表示方法をとっている(日経新聞)(ケータイ Watch) -
NHKのネット配信を、テレビ放送と同様に実施を必須とする「本来業務」に格上げすべきだと有識者会議の報告書でまとめられた。現在は任意業務となっている。(共同通信)
先日発表された、ネットテキスト業務の撤退の話も含めて、記事もそうだがいろんな場所でコメントされている内容を見ると、それぞれの立場の人間ががどう感じているのかがわかるので面白い。
古田 大輔氏のFacebook投稿
東洋経済 新聞の敵は「NHKのネットではない」と断言できる へのコメント(NewsPciks)
朝日新聞デジタル NHK番組、ネット視聴はテレビなくても費用負担を 有識者会議 へのコメント(NewsPicks) -
アクセス解析で有名な小川卓氏による、GA4とBigQueryとの組み合わせについての解説記事。GA4については、おそらくいろんな現場で混乱が起きているかもしれない。その対策として、BigQueryと連携してデータを見るという方法も1つかもしれない。少し難しい話になるが、参考になるかもしれないので紹介したい(はてなビジネスブログ)
その他のニュース
# 🌏 海外ニュース
注目ニュース
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ローカル新聞が苦しんでる状況で、デジタルで成功しているローカルニュースの関係者へのインタビューをInsiderの元編集長Jim EdwardsがPress Gazetteで行なっている。
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その中で、SNSのアルゴリズムに依存することないトラフィックを生み出すことの重要性やPVに振り回されないことなどコツを語っている。また、多くのローカルニュースはメールベースに移っていくのではとも書かれている(PressGazette)
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NetflixのONE PIECEに向けて尾田栄一郎先生のインタビューが掲載されている。
タイトルにある Defy ‘a History of Failure’(失敗の歴史への反抗)とあるように漫画の実写化が失敗しているという流れに対抗したいと語っている。Netflixとは、実写化に際して納得がいかない場合は、どのタイミングでも中止を言えるように契約をしていたとも語る(The New York Times) -
米Yahoo!傘下のテック系メディアTechCrunchがStrictlyVCを買収したとAxiosが伝える。また、Yahoo!がメディア系事業を注力する可能性も伝えている(Axios)
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Washington Postが外販をしているCMSサービスArc XP部門のスタッフのレイオフを行ったとSemaforが伝えいている。Arc XPはすでに100以上の顧客を抱えている。
これは、本業である新聞の購読者数の落ち込みの影響によるものだ。(Semafor)
その他のニュース
# 📕 出版に関するニュース
注目ニュース
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TikTokで本を紹介する潮流BookTokはいつまで続くのか。
Publisher Weeklyでは、BookTokの後押しで大人向け小説カテゴリだけが売上が前年よりも上昇しているとCircana BookScanの報告によりわかっています。ただし、BookTokerが扱ってる書籍が今年7月ごろから売上が減少し出しているとも伝えている。ただし、まだ書籍発見の場としては有力であるとも語っている。
Good e-Readerでも同様に7月ごろからの売上減少を指摘しているが、BookTokのおかげで読書量が増えたという調査結果も共有している。調査は、アメリカとカナダの1万人のTikTokユーザに調査をおこなったもである。
アメリカのBookTokはもしかしたらピークかもしれないが、一定の定着がし始めたのかもしれない。 -
スターツ出版の2023年8月21日に行われた2023年12月期第2四半期決算説明の書き起こしが話題になっている。
堅実に若い層に届く本作りと、プロモーション施策がうまく効いている。レーベルごとの成長グラフも公開されている。
日本でも、TikTokを活用した書籍プロモーションは順調に行われているようだ(ログミーファイナンス) -
Amazonが2013年に買収した読書コミュニティGoodreadsで悲しい出来事が以前から起きている。著者に、Goodreads上で代金を要求した上で、払われない場合に悪いレビューや星1つの評価をつけるなど脅迫をしている事案が出ているとのこと。記事では、そうした事案が起きていることでGoodreadsについて信用できないと感じるユーザがいると書いている。
日本でも大きなレビューサイトがいくつかある、自分はその1つの事業責任者を2018年まで担当していた。そのため、Goodreadsのビジネスモデルなどは理解しているのだが、この原因はサービスへの投資が抑制されてるからだろう。機能開発である程度防げるが、投資ができていない状況で開発ができないと感じる。サービスはメンテナンスしないと腐っていく(Good e-Reader)
その他のニュース
# 編集後記
9月2日に新宿にあるロフトプラスワンでポッドキャスター向けのイベントを行いました。
雰囲気は、ハッシュタグをご覧になっていただければと。
内容は、個人のポッドキャスターのイベントでしたが、良い盛り上がりでした。海外でのポッドキャスト事情はそこまでわからないですが、こうしてイベントとして成立するという点では徐々にマーケットとしても立ち上がっていくのかと感じました。
数回続いてる、ポッドキャストウィークエンドというイベントもあったり、ポッドキャストはもっと盛り上がると感じています。
老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにてディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスとブロックチェーンプロダクトに関わっていました。
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