IAB Europe担当者が提案するAIとパブリッシャーの関係 Publidia #226
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最新回#42は以下になります。
# 🚩 トップニュース
博報堂DYホールディングスは、オプトを中心としたデジタル領域に強みを持つデジタルホールディングスを完全子会社化する方針を打ち出した。
株式公開買付け(TOB)により全株取得を目指て買付けを実施する。買付予定数は発行済株式の66.20%に相当する約1,375万株で、40.55%にあたる757万株を下限とし、応募数がこれを下回った場合は成立しない。
デジタルホールディングスはTOBに賛同の意を示しており、応募の判断は株主に委ねられている。(ロイター)(アドタイ)
# 📍 ピックアップ
今回は以下の内容をピックアップして紹介しています。
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IAB Europe担当者が提案するAIとパブリッシャーの関係
IAB Europe担当者が提案するAIとパブリッシャーの関係
従来、パブリッシャーは検索エンジンやSNSからの外部流入によって広告収益を確保してきたが、生成AIがユーザーに直接回答を提示することで、パブリッシャーのサイトを訪問する必要性が減少しつつある。結果として、パブリッシャーがコンテンツから得られる収益と、AIプラットフォームが同じコンテンツを活用して生み出す価値との間に大きな不均衡が生じている。
こうした状況に対し、業界団体IAB Europeのデータ アナリスト兼サステナビリティリーダーである Dimitris Beisが「Crawling for Compensation」というフレームワークを通じて解決策を提示している。
同フレームワークは、パブリッシャーがAIによるコンテンツ利用を適切に制御し、収益化できるようにするための実務的な仕組みを整備することを目的としている。具体的には三つのステップを提示している。
第一に、robots.txtやWeb Application Firewallを用いたアクセス制御である。これにより、無断スクレイピングを防ぎ、パブリッシャーが自ら利用条件を設定できる環境を整える。
第二に、AIがパブリッシャーの意図を理解できるよう、利用規約やコンテンツのメタデータを明示する「llms.txt」などの技術的仕様を整備する。
第三に、AIによるコンテンツ利用に応じた対価をパブリッシャーが得られる収益化モデルを導入することである。ここでは、クロールごとに料金を課す「コスト・パー・クロール」や、ユーザーの質問単位で課金する「クエリベース課金API」といった仕組みが検討されている。
この提案は、パブリッシャーとAIプラットフォームの間に存在する「ただ乗り問題」を解消し、持続可能な関係を築くための第一歩と位置付けられるかもしれない。
ただし、実効性のあるアクセス制御や利用目的の限定、価格設定の透明性といった課題は依然として残る。特にAIプラットフォーム側がデータ利用の詳細を公開しない現状では、パブリッシャー側の懸念が解消されているとは言い難い。
検索流入が本当に減少しているのかという論争は続いているものの、核心は「AIがパブリッシャーのコンテンツを活用して利益を得ながら、パブリッシャーに十分な還元をしていない」という点にある。
このフレームワークは、こうした問題に対処するための具体的な設計図を示したものであり、今後は規制や業界全体の合意形成を通じて、より公正な報酬モデルの確立が求められている。
このフレームワークは、IAB EuropeはあくまでIABの欧州地域の担当であり、IAB全体として取り組もうとしている取り組みではないという点に留意したい。
また、Webの標準仕様を策定しているW3Cとしてはllms.txtについて態度は明確にしておらず、IABもEuropeとIAB Tech Labは前向きな姿勢をとっている。
# 🗾 国内ニュース
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# 編集後記
先日、ウェブ制作者の人たちがやっているポッドキャスト番組のイベント(生放送)が行われました。
私の友人知人も出ていたので聞いていましたが面白かったです。
で、いわゆるパブリッシャー(広く出版、メディア、新聞)の業界の人がやっているポッドキャストというのはどれぐらいあるのだろう、とふと思いました。
以前、新聞社のポッドキャストはまとめたのですが、改めてちゃんとまとめてみようかな、と思いました。よくみると、3年前で結構時間が経ってました。

老舗の出版社講談社のグループ会社であるKODANSHAtech LLCにて広告関連の担当や子会社事業のメディア担当ディレクターとして働いています。複業として、ウェブメディアのマネタイズ支援やデータ分析なども行っています。以前は読書管理サービス ブクログの事業責任者、メディアドゥでマンガサービスに関わっていました。
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